第四十二話 竜の羽衣
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クシミリアンとカトレアは食事をはじめた。
「早速、オムレツをいただこうかな」
「感想聞かせて下さいね」
マクシミリアンはナイフとフォークでオムレツを切り分け口に運んだ。
「……」
「どうかしら?」
(これは……オムレツというより卵焼きだ)
カトレアの作ったオムレツは、外も中も良く火の通ったオムレツ、というより卵焼きで、外はふんわり中はトロトロな一流シェフのオムレツばかり食べてきたせいか、マクシミリアンには残念な出来に感じられた。
だが、『愛情』という調味料が入っていると無理やり自分を納得させオムレツを一気に平らげた
「どうかしら?」
カトレアは心配そうに感想を聞いてきた。
「まぁ、次第点かな、不味くは無かったよ」
「そう……ですか」
しょぼーん、とカトレアが小さくなったように見えた。
「次はがんばろうよ」
「そうですね。次こそは、マクシミリアンさまを唸らせて見せますわ」
マクシミリアンの励ましで元気になったカトレアは雪辱を誓った。
……
昼食を食べ終え、二人は食後のデザートを楽しんでいた。
「そう言えばカトレア」
「何でしょう?」
「明日か明後日に、地方の視察に行くんだけど。カトレアは着いて来る?」
「着いて行きますわ」
カトレアは即答した。
「それじゃ、そのように伝えておくよ」
「それで、何処を視察されるんですか?」
「タルブ村、って所だ。あそこはワインの産地として知られているけど。新たにブランデーっていう酒の蒸留を年明けあたりから始めたんだ。今回の視察は、これらの進み具合を見学する為の視察なんだよ」
マクシミリアンは、ハルケギニアにおいて酒と呼べるものは、ワインとエールが主流で、他にはリキュールなどが在ったが、それほど流通していなかった。
これに目をつけ、ブランデーやウィスキー、ビールなどを開発して新たな産業にと目論んでいた。
何より、酒飲みのマクシミリアン自身が飲みたいと思っていた。
☆ ☆ ☆
「お、おお……王太子夫妻が、このタルブ村に!?」
タルブ村の村長は、突如降って沸いたマクシミリアンらの視察に驚きの声を上げた。
「視察というから、てっきり官僚とかその辺りが来ると思ったのに」
「あの……村長、領主様にはどの様に報告を?」
村長が、小間使いとして使っている男が申し訳なさそうに聞いてきた
「忘れたのか? 領主様は先の内乱で反乱軍側に付き、御家を取り潰されて、今では直轄地だということを」
「そうでした」
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