第四幕その六
[8]前話 [2]次話
「日曜ですから」
「あっ、クリスチャンなので」
「この学園の教会に参ります」
国教会のそちらにというのです。
「それで、です」
「それからお家に戻って」
「そのうえで、ですね」
「須磨の海に」
「そうされますか、ではです」
日笠さんは思い切って切り出しました。
「先生のお家まで車で迎えに行きますので」
「日笠さんがですか」
「はい、キャンピングカーをレンタルして」
動物の皆も見て言います、皆は日笠さんのその視線に気付かないふりをしています。ここはあえて。
「そうしてです」
「お迎えにですか」
「上がりますので」
「いえいえ、それはです」
「それいは?」
「女性の方にそうして頂くことはです」
それはというのです。
「よくありませんので」
「だからですか」
「はい」
それでというのです。
「僕の方からお迎えに上がります」
「いえ、それは」
「僕は車の運転は出来ませんが」
それでもとです、先生はさらに言いました。
「友人の王子がキャンピングカーを持っています」
「アフリカからの留学生の」
「はい、あの王子がです」
「では王子にもお声をかけて」
「同居人のトミーにも声をかけて」
先生の平等主義がよくも悪くも出ました。
「そして皆で行きましょう」
「皆で、ですか」
「はい」
そうだというのです。
「そうしましょう」
「そうですか」
「駄目でしょうか」
「いえ、先生が言われるのなら」
日笠さんも強く言えませんでした。
「それでは」
「はい、では」
「そうしましょう」
内心がっかりして応えた日笠さんでした。
「それでお時間は」
「何時にしましょうか」
「朝の海はとても奇麗なので」
内心のがっかりを隠しつつ言う日笠さんでした。
「ですから」
「それで、ですね」
「朝の早いうちに」
「ではです」
「それではですか」
「八時半までに王子やトミーと一緒にです」
皆と一緒にというのです。
「教会への礼拝を終えて」
「そしてですか」
「八時半にです」
まさにその時間にというのです。
「お迎えに参ります」
「私のお家までですか」
「今は社宅にお住まいですね」
「はい、八条学園の職員用の」
そこにと答えた日笠さんでした。
「学園の傍の団地にいます」
「ではそちらにです」
「迎えに来てくれますか」
「はい」
笑顔で答えた先生でした。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
「はい、それでなのですが」
さらにお話する先生でした。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ