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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット2
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軽快に打ち込むバルジェン。
「エーィ、ソゥリャァ」
止めの構えで戦闘の終了を宣言したのだった。
ジーナ、ウェディの女性を振り返ると、目を丸くして事の成り行きを呆然と眺めている。
心うつろに倒れたオーガの男たちを見まわし、そしてバルジェンの顔に目が行き、抑揚のない声でつぶやいた。
「あんた・・・目が、赤い・・・?」
「ん?」
目の色がどうしたというのだろう。
わけがわからん、と首を小さく左右に振ると、バルジェンは何も言わずにその場を離れようとした。
他意はない、頭の中は真っ白だ。
ただ、何かが終わったのはわかる。
終わったからもう関係ない。
ココニイルヒツヨウハモウナクナッタ
その場を離れようとしたバルジェンに、彼女が勢いよく飛びついてくる。
「ちょっと! ちょっと、まって! お礼位させて!」
「お礼? なんの?」
ナニヲイッテイルノダロウ、コノ女ハ
価値もない小動物の獲物を見下すかのような冷たい視線を送ってくる男に、ジーナは思いっきり左手を振りかぶった。
「あんた、正気に戻んなさいよ!」
ばしっと頬を叩く。
「おうう、いてぇ。何してくれるのかなこのおねーさんは」
悲しそうな顔で抗議の声を上げるバルジェンの頬を、両手で包み込むようにしてウェディの女性、ジーナは顔を覗き込んできた。
じっくりと真剣な眼差しを受け、ちょっと照れて目をそらすバルジェンに、ほっと安堵の吐息をついてその場に頽れる。
「目の色戻ってるし・・・。・・・・・・・・・・・・よかったーーーーーっ!」
「よかったって何が!? こっちは叩かれた頬が痛いわ!」
「男がちっさいこと気にすんな! それよりあんたメシは!?」
ぐーっと不本意ながら腹の虫が鳴る。
ジーナは楽し気に笑うと彼の右腕に絡みついてきて言った。
「エスコートしな! 特別に優待チケット使ったげるから、今日は好きなだけ飲んでも食ってもタダだよ!」
「うゎぁなにそれ後が恐ろしい営業的な・・・」
「うっさい、いいからこい!」
ジーナは半ば強引にバルジェンをひっぱっていく。
バルジェンは、彼女を振りほどく元気もなんだか湧かず、されるがままに連れられて道を進んだ。
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