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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット2
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で構えて見せる。
取り巻きの片割れも、腰に差していた刃先の湾曲した短剣をするりと抜き放つ。
「おめー、今自分が何したのかわかってるよな?」
そのセリフがあまりにも滑稽で、思わず含み笑いをするバルジェン。
「おい、何がおかしいんだテメー!」
「オメー、今自分が何したのかわかってるよな? ・・・ぷーっ、くっくっく・・・」
「テメー! ふざけてんのか! この状況が解ってんのかええ!?」
「あー、おかしい。なに? 何のつもりだ? お前、武器を抜いていいのは死ぬ覚悟をしたヤツだけなんだぜ?」
くすくすと薄笑いをしながら両手を大きく左右に開いて挑発して見せるバルジェンに、取り巻きの男が短剣を振り回してきた。
「なんだかうるせーんだよクソガキ、死ねや」
くるくるとよく回転しながら近付いてくる短剣の一撃。
バルジェンは何のことはないと男の武器を持つ拳めがけて無造作に前蹴りを放った。
ゴリっと嫌な音がして男が短剣を取り落とす。
「あ・・・あ・・・・・・」
あらぬ方向に曲がってしまった右手の人差し指と中指を呆然と眺める男。
バルジェンが再び音もなく動いた。
すり抜けざまに顎に上段正拳突きを放つ。
ビキリっと後頭部から嫌な音を響かせて男が首を激しく後ろに後退させると、そのまま気を失って仰向けに倒れてしまった。
「フゥー・・・・・・おめぇよ・・・どうやら俺を本気で怒らせたいらしいな。オメーはただじゃおかねぇ」
「ハハッ、こっちのセリフだ三下。クズは死ね」
バルジェンの右上段蹴りが風を切る。
足先で大剣の腹を蹴り飛ばすと、ダグルスの手の中から面白いほど簡単に大剣が転がり落ちる。
あ、と男が声を上げた時には、左上段蹴りがダグルスの首筋にクリーンヒットしていた。
蹴り上げた左足が地に着く頃、右足刀蹴りがダグルスの喉仏に突き刺さり、体勢を崩した所に左前蹴りが鳩尾に入る。
「う・・・ぐご・・・」
声にもならないうめき声を上げて後退するオーガの男に、バルジェンはするりと近付いて顔面目掛けて拳を叩き込んだ。
左正拳突き、右正拳突き、左フック、右正拳突き、左アッパー、右フック、右裏拳、左正拳突き、右正拳突き。
目の淵、口、鼻から血を流して、オーガの男、ダグルスはその場に頽れた。
「う・・・げご・・・て、てめぇ・・・なに・・・もん・・・」
「はーい。通りすがりの旅芸人でぃす」
右足を膝が首に達するほどに振り上げ、ダグルスの顔面を踏み抜く。
後頭部を勢いよく石畳の上に叩き付けられるオーガ。石畳の割れる乾いた音と、生木が潰れるような嫌な音を響かせて、オーガの男は気を失った。
左掌をダグルスの顔面に向け、右拳を左掌を射貫くように
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