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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット2
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てみると、三人組のオーガの屈強そうな男性が丁字路の反対から向かって来る所だった。
「おぅい、ジーナじゃねーか。もうすぐステージだろ? 送ってってやるからよ、こっちこいよ」
「いや、今忙しーし。彼氏と一緒だし。いかねーし」
「カレシ?」
思わず呟いてしまうバルジェン。
ウェディの彼女が顔を耳元まで近づけてきて囁いた。
(いいから合わせろよ! 空気読めよ!)
(いや、なんのトラブルか知らないけど俺がアナタを助けて何かいいことでも?)
(うるせーよ! いいから合わせろよ!)
二人の様子に、リーダー各らしい鎖帷子に身を包んだオーガの男が前に進み出てきた。背には黒い片刃の大剣を背負っており、見た目はすごく強そうだ。
関わりたくない、と思ったバルジェンが女性を引き離そうとした時、オーガの男は前に進み出てきて彼女の耳元まで顔を近付けてきて言った。
「そんなクソガキなんかほっといてよぅ。俺といいことしようぜ!」
彼女の腕を掴むと、力任せに引きはがしにかかる。
左の上腕を捻りあげられて女性は悲鳴を上げた。
「ひぁ、いたい! ・・・ちょっと、やめて・・・!」
「あ? お?」
オーガの男がこちらを見る。
「おーい! 痛がってんじゃねーかよウェディのクソガキぃ! ジーナを放せっての!?」
「いや、放すのあんた・・・。だよ。・・・おねがいやめて・・・」
「はぁ!? なに!? ジーナ聞こえないよジーナ!?」
「だから・・・やめて・・・」
ああ、なんだろう・・・。
別にこの女がどうなろうと知ったこっちゃないはずだが・・・。
なんだろう・・・。
「きーこーえーなーいー!! おらこっち来いよ!」
「いや・・・!」
なんだろう・・・。
「おい、お前らも突っ立ってねーで行くぞオラ!」
「へい、ダグルスの旦那!」
「早くしねーとショーに遅れちまいますしね!」
「いや! ちょっと、あんた! 助けてよ!?」
なんだろう・・・。
「オラ、いいから来るんだよ!」
オーガの男たちがジーナというウェディの女性を取り囲んで連れ去ろうとする。
どうでもいいはずなのだが、
なんだろう・・・
ア タ マ ニ ク ル
バルジェンの身体は自然と動いていた。
音もたてずにジーナの背後についていた取り巻きの男に近寄り、首筋に上段蹴りを振りぬく。
ドっと、音にもならないような鈍い音がすると、上段蹴りを受けたオーガの男はその場に頽れて意識を失った。
一瞬事態を飲み込めなかったオーガ達は、すぐに戦闘態勢に入る。
ダグルスという男は黒い片刃の大剣を軽々と背から引き抜いて右手一本
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