第7話 戦いと鮮血
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
線砲を捨てたヘイデリオン機の右腕が、メイセルド機の翼を掴む。
『ぬッ……!』
「捕まえましたよ、教官ッ!」
『……やってくれるな、タロウッ!』
だが、ヘイデリオン機の左腕が鉄拳を振り下ろすよりも速く。片翼を掴まれたことでバランスが乱れたことを利用し、メイセルドは錐揉み飛行を始めた。
ヘイデリオン機の重量を活かして回転数を上げ、彼を振り落とすためだ。
『ぬぅ、ぐッ……おおぉおッ!』
「だ、あぁ……あぁああッ!」
だが、太?は懸命に食い下がる。メイセルド機にしがみつく彼を引き剥がそうと、老兵は更に回転を加速させるが――彼は、落ちない。
やがて、ヘイデリオン機の重量に引き摺り下ろされるように。メイセルド機の高度が、徐々に下がっていく。――森に衝突する、直前であった。
『うごッ……おぉおッ!』
「が、あぁあぁッ!」
そして。森を彩る木々を、抉るように――ヘイデリオン機が、大木に激突した。
衝撃で引き剥がされた赤い巨兵は、大木もろとも無数の木々をなぎ倒しながら、地表を滑っていく。機体を構成するパーツを、方々に撒き散らしながら。
「……よく、やってくれたな」
一方、衝突の影響で片翼をもがれたメイセルド機も、姿勢制御を失い限界を迎えていた。乗機の「死」を悟った老兵は、相棒に別れを告げ――颯爽と飛び降りる。
「隊長ッ!」
そして。遥か上空から、エメラルドの外骨格を纏うメイセルドが現れ――ユアルクの前に着地した瞬間。彼が乗っていたジェット機は遥か彼方に墜落し、爆散してしまった。
「……」
――やがて。彼と同様に乗機を破壊された太?も、メイセルドとユアルクの前に駆けつけてくる。鬼気迫る表情を紅い仮面に隠し、蒼く煌めく光刃剣を構えながら。
「……どうやらまだ、終われぬようだな」
「えぇ……終われません」
紅き闘士、ヘイデリオン。蒼海将軍、ユアルク。翡翠の老兵、メイセルド。
互いに一歩も譲らぬ、彼ら師弟の戦いは――さらに苛烈になろうとしていた。
◇
剣と剣が交わる衝突音。光弾が飛び交う銃撃音。翼で風を切る音と、木々をなぎ倒す轟音。そして、体の芯にまで及ぶほどの地鳴り。その戦いの余波は、遠く離れているはずの「家」にまで響き渡っていた。
太?達の戦いの激しさを肌で感じ、コロルとケイは震えながらシンシアに寄り添っている。そんな子供達の肩を抱く少女も、悲痛な表情で太?の帰りを待ち続けていた。
――否。もう、彼女には分かっていたのだ。帰りを待つ意味など、ないのだと。
(……例えあの人達を追い払えたとしても……ここを見つけられてしまったら、私達は……もう……)
太?もシンシアも、すでに星雲特警――ひいては星雲連邦警察に発見されてし
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ