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星雲特警ヘイデリオン
第4話 ヘイデリオンとユアルク
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みともつかない叫びを聴きながら――タロウはスラスターを巧みに制御し、光線砲の連射を回避した。

 ――正義を持たない、権威。それが星雲特警の本質であると叫ぶユアルクは、本気でタロウに当てることが出来なかったのである。
 戦時中、殺し合いを嫌うタロウの心的負担を和らげるために――「星雲特警の戦いは正義」「シルディアス星人は斃すべき悪鬼」などと吹き込んでいたのは、他ならぬユアルク自身だったのだから。

「……ッ! それでも! こんな、誰かの血を吐かせ続けるような真似を……放っておくわけには行かないんだッ!」

 その自己矛盾から生まれる罪悪感が、照準を鈍らせた時。戦局は、一気に反転する。

 蒼いジェット機とすれ違う瞬間。ヘイデリオン機は素早く身を翻し――後方からユアルク機に反撃の一閃を撃ち込んだ。
 空戦(ドッグファイト)そのものが成り立たなくなるほどの旋回性能。それが人型の歩兵形態を持つ、最新型シュテルオンの特性なのだ。
 その性能差に物を言わせた銃撃を浴びて、ユアルク機はふらつきながら退却を始めた。

『ぬぁッ……! くッ、タロウ……! そんなことでは、お前はッ……!』

 口惜しげに、苦悶の声を漏らしながら。少年の師は、被弾した自機を辛うじて安定させながら、森の彼方へ飛び去っていく。

「……」

 そんな彼を、タロウは深追いすることなく見送った。今は追撃より、シンシア達の方が気掛かりだからだ。
 焼け野原となってしまった地上に着地し、シュテルオンから飛び降りたタロウは、コスモアーマーを解いて本来の姿に戻ると、ボロ布を翻してここから走り去っていく。その表情に、焦燥の色を滲ませて。

(とうとう、ここが見つかった……! やるしかない、オレがみんなを守るしか――!)

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