第4話 ヘイデリオンとユアルク
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画面に隠し、相棒である戦闘機を呼ぶ。その叫びに呼応するように――木々を激しい風で揺らしながら、蒼いジェット機が飛来して来た。
彼は素早くそれに飛び乗ると、機体に装備されている光線砲による掃射を開始する。巨大な閃光が雨のように降り注ぎ、タロウを襲って来た。
「クッ……シュテルオンッ!」
土埃と爆音が絶えない死地の渦中に立たされた彼は、何度も地を蹴り宙を舞い、回避に専念する。その立ち回りの中で、対抗するように相棒を呼ぶタロウの声に反応し、遥か上空から赤いジェット機が急降下してきた。
「ぐおっ……!」
自動操縦機能による、上方からの射撃を浴びたユアルクは掃射を中断し、操縦桿を切って旋回する。その回避行動による隙を突き、タロウは素早く自機に飛び乗った。
「変形、歩兵形態!」
そして、音声入力と同時に特定のレバーを倒し――自身の機体をジェット機から、人型機動兵器の姿へと変形させる。
鋭い刃のようなトサカと、蒼く発光する両眼。そして、赤一色のメタリックボディを持つ、体長10mの機械巨兵。背部のスラスター噴射によって滞空する、その人型機動兵器を目にして――蒼海将軍は固唾を飲んだ。
――この光速宇宙戦闘機「シュテルオン」には元々、人型兵器に変形する機構はなかった。だが、強化外骨格「コスモアーマー」さえも食い破るシルディアス星人に対抗するため、星雲特警が着用する「第2の鎧」として近年、試験的に導入されるようになったのである。
その数少ない最新型を所有するヘイデリオン――もといタロウは、赤く巨大な鉄腕で光線砲を構える。漆黒の大型銃砲は、旋回中のユアルク機を正確に捉えていた。
一方的な虐殺のためだけに造られた、その最新型を嫌うベテラン達の1人である蒼海将軍は――赤い巨兵を見遣り、より険しい面持ちになる。
「教官……この距離なら、外す方が難しいくらいですよ。シュテルオンから降りて、投降してください」
『私が投降したとして、お前はどうする? 人質にでもする気か? ――シルディアス星人の殲滅を最優先事項としている、今の星雲連邦警察が……私1人の命など、いちいち気にかけるとでも思っているのか?』
「……ッ! それが、正義を掲げる星雲特警の……星雲連邦警察の在り方ですか」
『勘違いするな。我々に在るものは権威であって、正義ではない。そんな御題目は、周りが勝手に並べているだけのことだ。そして権威に刃向かう存在こそが、常に悪と糾弾される。……お前が今しているのは、そういう戦いだ! 私は無謀な戦いで命を散らせるために、お前に戦い方を教えたのではないッ!』
やがて、蒼いジェット機は怯むことなく突撃し、ヘイデリオン機に光線砲を撃ち放つ。その怒りとも、悲し
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