暁 〜小説投稿サイト〜
星雲特警ヘイデリオン
第2話 叛逆の逃避行
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
蒼く閃く刃がユアルクの光線銃を弾き、銃身が宙を舞った。
 銃口から放たれた光弾は明後日の方向に飛び、その隙に教え子は少女を庇うようにユアルクと対峙する。

「く……! ヘイデリオン、考え直せ! お前の苦しみがわからんとは言わん、だがこれは星雲連邦警察の決断なのだ! それに背くというのか!」
「構いません! こんな、こんなこと……オレはもう、たくさんなんです! ――シュテルオンッ!」

 すると。教え子の呼び声に応じるように――空の彼方から、流線型のジェット機が飛来してきた。
 真紅のボディを持つ、そのマシンを見上げると――教え子は少女の体を抱き抱え、一気に跳び上がる。

「きゃあっ!?」
「くッ……!」

 ユアルクは咄嗟に光線銃を拾い上げ、再び構えるが――照準に入っていた教え子の背は、どうしても撃てなかった。

「な、何なんですか、一体、何が……!」
「……ここから逃げるんだ。少しでも、遠くへ!」
「えっ――きゃあぁあ!?」

 その隙にハッチを閉じた教え子は、膝の上に少女を乗せたまま、最大戦速でこの場から飛び去ってしまう。
 ――星雲特警の相棒である、可変式光速宇宙戦闘機「シュテルオン」。その速さを以て逃げられてしまっては、容易には追いつけない。
 蒼海将軍はシルディアス星人の少女を連れ、逃走してしまった教え子の姿を、ただ見送ることしか出来なかった。

「……タロウ、お前は……本当に、これでッ……」

 仮面の下で、苦虫を噛み潰した表情を浮かべるユアルク。彼は拳を震わせ、己の判断を悔いるように立ち尽くしていた。
 ――いつかは、こういうことになる。薄々、そう察していたがゆえに。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ