第2話 叛逆の逃避行
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蒼く閃く刃がユアルクの光線銃を弾き、銃身が宙を舞った。
銃口から放たれた光弾は明後日の方向に飛び、その隙に教え子は少女を庇うようにユアルクと対峙する。
「く……! ヘイデリオン、考え直せ! お前の苦しみがわからんとは言わん、だがこれは星雲連邦警察の決断なのだ! それに背くというのか!」
「構いません! こんな、こんなこと……オレはもう、たくさんなんです! ――シュテルオンッ!」
すると。教え子の呼び声に応じるように――空の彼方から、流線型のジェット機が飛来してきた。
真紅のボディを持つ、そのマシンを見上げると――教え子は少女の体を抱き抱え、一気に跳び上がる。
「きゃあっ!?」
「くッ……!」
ユアルクは咄嗟に光線銃を拾い上げ、再び構えるが――照準に入っていた教え子の背は、どうしても撃てなかった。
「な、何なんですか、一体、何が……!」
「……ここから逃げるんだ。少しでも、遠くへ!」
「えっ――きゃあぁあ!?」
その隙にハッチを閉じた教え子は、膝の上に少女を乗せたまま、最大戦速でこの場から飛び去ってしまう。
――星雲特警の相棒である、可変式光速宇宙戦闘機「シュテルオン」。その速さを以て逃げられてしまっては、容易には追いつけない。
蒼海将軍はシルディアス星人の少女を連れ、逃走してしまった教え子の姿を、ただ見送ることしか出来なかった。
「……タロウ、お前は……本当に、これでッ……」
仮面の下で、苦虫を噛み潰した表情を浮かべるユアルク。彼は拳を震わせ、己の判断を悔いるように立ち尽くしていた。
――いつかは、こういうことになる。薄々、そう察していたがゆえに。
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