第1話 滅ぶべき血族
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外骨格を纏う、戦士達も。紫紺の体と漆黒の爪を持つ、禍々しい異星人達も。10mもの体躯を持つ、機械仕掛けの巨人達も。皆、生き延びる為に戦い、死んで行く。
少年は、帝王に「死」を齎した蒼い光刃の剣を持ったまま――静かに、この部屋の外へと歩み出して行った。
一族の長が斃れた今も、異星人達は抵抗を続けている。これ以上の無益な犠牲を回避するには、自分も速やかに合流して彼らを滅ぼすしかない。
それが星雲連邦警察の決定である以上、拒否権などないのだから。
「……帝王を倒せば、全てが終わるだなんて。やっぱり、嘘っぱちじゃないか」
だが。そうと知りながら、これが現実と知りながら。帝王を討ち取った真紅の英雄は、重い足取りと共に毒を吐く。その仮面に隠された貌は、死人のようであった。
◇
この宇宙の平和維持を担う、星雲連邦警察。その組織が総力を挙げて、絶滅させねばならないと躍起になっている一族がいた。
その名は、シルディアス星人。
多種多様な異星人達の中において、抜きん出た戦闘力と闘争本能を備えている彼らは――その本能を満たし充足を得る為に、他の星々を侵略し暴虐の限りを尽くしていた。
生まれながらに凶悪な破壊者としての資質を持つ彼らは、子供の時点で既に強大な力を持っている。強化外骨格を纏う、星雲連邦警察のエリート戦士「星雲特警」すらも簡単に縊り殺せるのだ。
彼らとの平和的な交渉に成功した事例は皆無であり、日を追うごとに犠牲となる星が増える一方であった。そして極力、過激な処置は避けるべきとしていた星雲連邦警察にも、限界が来てしまったのである。
シルディアス星人を1人残らず殲滅し、この宇宙の平和を取り戻す。それが、星雲連邦警察の決断であった。
組織の精鋭である星雲特警はその急先鋒として、全宇宙に散らばるシルディアス星人を狙い追撃作戦を開始。凶悪な戦闘民族を撃滅すべく、行動を開始した。
――それから、数百年を経た今。
1人の若き星雲特警の手で、シルディアス星人を束ねる「帝王」が討たれ、指導者を失った彼らの軍勢は急速に瓦解。
彼らの母星に攻め入った星雲特警の強襲隊は、残る残党を駆逐すべく掃討作戦を遂行していた。
帝王を討った、若き英雄。その少年の胸中に沈む、深い悲しみに背を向けて。
◇
「1人も逃すな! 奴らを殲滅せねば、この宇宙に平和は来ない!」
シルディアス星の深い森の奥にある、難民キャンプ。そこは今、星雲特警の襲来により阿鼻叫喚の戦場と化していた。
エメラルドに輝く外骨格を纏う、強襲隊隊長メイセルド。彼は紫色に発光する光刃剣を天高く掲げ、隊員達を鼓舞する。その後ろには、全長10m
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