最終話 「好きに生きる」
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卒、お見知り置きを」
「あ、えぇと、こちらこそどうぞ……ではなくて! なぜ宇宙人の貴方が地球にいて! 威流様のお布団に忍び込んでいるのですか!」
「そ、そうです! 彼はお嬢様の許嫁! それを知りながら、なぜ貴方がこのようなことを!」
「なぜって……それは……」
円華もそれに同調し、ルクレイテを非難するのだが――彼女は白々しく、困ったような声を漏らすと。
「――救世主たるタケル様の、御命令ですから」
「んなっ!?」
「御命令!?」
「ちょおっ!?」
威流の腕に絡みつき、その唇に白い指先を当てて。全ての「責任」を、男に委ねてしまうのだった。
その言葉を受け、全員が驚愕し――やがて、許嫁の全身から嫉妬の爆炎が噴き上がる。彼女の隣に立つ従者も、涙目になりながら威流を睨みつけていた。
「……た〜け〜る〜! さ〜ま〜!」
「威流、貴方! お嬢様という人がありながら、どういうつもりよ!」
「ちょっ……待って、葵! 円華! オレの話を聞けって!」
「ふふ……さぁ、タケル様。英雄色を好む、という言葉もあります。どうぞ3人纏めて、可愛がって下さいませ」
「さ、さんっ!?」
そしてルクレイテの爆弾発言に、乙女2人はさらに真っ赤になると。
「……威流っ! お説教よ、そこに直りなさい!」
「威流様! 説明してくださいっ!」
「ふふ……賑やかになって参りましたわ。これから、楽しくなりそうですわね……タケル様?」
「楽しいのは多分君だけええぇ!」
修羅の如き形相で、愛する男を追い回すのだった。顔面蒼白になりながら逃げ惑う救世主を、異星人の巫女は悪戯っぽく笑いながら見つめている。
「……あいつら朝っぱらから何はしゃいでんだ?」
「威流さんが戻られて、ようやく落ち着いて来た頃ですからね。2人とも、今まで失った時間を取り戻そうとしているのでしょう」
「そういうもんっすかね……?」
――そんな修羅場が繰り広げられているとも知らず。威流の様子を見にきていた竜也は、静かな茶の間で雅と共に、平和な青空を眺めていた。
◇
一方。地球から遠く離れた、異星人の住まう惑星では。
『うおぉおーん! 余の可愛い可愛いルクレイテえぇぇえ! どこに行ってしまったのだあぁああ!』
聖域である大森林の只中を、真紅の巨神が泣き叫びながら駆け回っていた。その後方を、無数の円盤が追尾している。
『我が主神タイタノア! 神殿にお戻りください!』
『どうされたのですか! 急に泣きながら飛び出されて!』
『追え! 神が動くほどの「何か」の前触れかも知れん!』
『了解!』
自分達の主神がこれほどまでに取り乱している理由が、娘の色恋沙汰であるとは知らず。円盤を操る神官達は、真摯な面持ちで彼を
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