最終章:夢を追い続けて
第60話「ようやく」
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
カに声を掛けられ、簪は薙刀を支えに立ち上がる。
怪我しない程度とはいえ、良い一撃を喰らったのだろう。
楯無さんもやれやれと力を抜いて溜め息を吐いていた。
「秋十、構えろ。」
「えっ、俺?」
「私も不完全燃焼でな。」
木刀を渡され、いきなりそう言われる。
...二人相手にして不完全燃焼か...。いや、千冬姉ならおかしくないけど。
「...分かった。」
「...ほう....。」
千冬姉とやり合うのはいつ以来だろうか。
おそらく、洗脳される前以来だろう。
洗脳されてからは試合と言うか一方的な蹂躙だったし。
「やはり、見違えたな。」
「研鑽を積み続けてきたからな...。行くぞ!」
「来い...!」
千冬姉は俺の積み上げてきた努力の“厚み”を見抜いてきた。
おそらく、それを想定した上で、俺を上回る反応をしてくるだろう。
「......!」
「っ...!」
一息の下に千冬姉に肉迫し、横薙ぎに一閃。
全力ではないが、相当な早さで振るったが...あっさりと防がれる。
「はぁっ!」
「っ...!」
防いだ所からの斬り返しが迫る。
俺は上体を反らしてギリギリで避け、そのままバク転して間合いを取る。
当然の如くバク転直後を狙って攻撃を仕掛けられる。
「(だけど、それはマドカとの手合わせで何度も見た...!)」
やはり姉妹と言うべきか。
細部は色々違うとしても、似たような戦法を使ってくる。
「ぜぁああっ!」
「むっ...!」
攻撃を防ぎ、一度後退する。
一歩二歩と後退し、三歩目で下がると同時に強く踏み込み、逆に肉迫する。
「ふむ...。」
「ぐぅっ...!」
しかし、その渾身の一撃はあっさりと凌がれ、反撃でまた後退させられる。
「では、こちらから行くぞ。」
「っ....!」
そして、そこで千冬姉が攻勢に出た。
...そう。何気に今まで千冬姉は自分からは動いていなかったのだ。
「(望む所だ...!)」
元より、千冬姉にあっさり負けているようでは、桜さん達に勝つなど夢のまた夢。
例え今勝つのは無理でも....!
「うぐぅ....。」
「うむ、中々良かったぞ。」
...千冬姉には、勝てなかったよ...。
いやまぁ、わかっていたけどさ。思った以上に適わなかった。
悉く攻撃は防がれ、逆にこちらの防御は貫いてくる。
俺も経験を積んで動きは分かっていた。
...だが、その上を行くようにまるで無意味だった。
「まともに攻撃も当てられなかった...。」
「いや、あの技はひやっとしたぞ。」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ