1-1話
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赤な唇も綺麗なラインの鼻筋も、全部が全部可愛いとしか言えない。
頭には両サイドにリボンで結んだテールが特徴で、日本人らしい絹のような黒髪が太陽に反射して輝いて見えた。
―――オレの幼馴染だった。
「―――!」
「――、――!」
男子達は、被写体がりおんだと知るとテンションが上がる。
だがオレはそれが耳に入らなかった。 映像の中にいるのがりおんなのだと知って、少なからずショックを受けた。
それに引き換え男子達はエロで頭が一杯で、各々が勝手な事を言っている様子だ。
このケダモノどもが…っ!
幼馴染の好奇の目に晒されるのが…何となく嫌で、苛立ちながら無意識に立ち上がった。
「…何のマネだ仙石?」
「…何って…別に?」
男子達の目が冷めたものになる。
いやこれも当然だろう。 いきなりこんな事すれば皆の視線も尖る。
シートの上に乗り上がり、カメラを高く掲げているオレは明後日の方向を向いた。
しかしやったしまった後で、その場をうまく丸め込ませられるほどオレは要領が良くなかった。
「お…お前、やっぱり赤神を!」
「ふざけんな、汚ねーぞー仙石!! てめぇだけ独り占めかよ!」
「りおんちゃんはてめぇのモンじゃねえ、皆のものだ! 俺のものだ!」
騒がしく喚く男子たちはブーイングを飛ばす。
野次に混じって、妙な疑惑をかけようとする言葉に思いっきり反応してしまった。
「うるせーーー!! あ、あいつはただの幼馴染だっつーの!! そして誰がてめぇのだ!」
その時だった。
「へへっ、もーらいっ♪」
誰かが、オレの手からカメラを奪い取った。
『あ』
高く掲げていたはずのカメラを強奪したそいつの方へと振り返って、オレは血の気が引いた。
「り……りおん!?」
「さっきからずいぶんと賑やかだけど、何を見てたのかな?」
そこにいたのは、件の幼馴染…赤神りおんその人だった。
ある意味、先生よりも、親よりも、そのカメラの内容を最も見られてはいけない相手だ。
「い、一抜けた。 あとは任せた」
「お、俺も…じゃーな仙石!」
「は、はぁっ!? あ、お、おいっ、お前ら!」
こ…こいつら、同じ穴のムジナのくせに…。
普段ならりおんが現れただけで、喜ぶような奴らなのに都合が悪い時だけは逃げ足は速いな、おいっ。
しかも、隣の席の奴まで逃げ出していった。
その間にも、りおんはカメラの映像を覗き込もうとしていた。
逃げるタイミングを失ったオレは地獄の一丁目に差し掛かる。
こ、これはまずい…。
「んー、どれどれ…何かな、これは〜♪」
興味津々そうにカメラを覗くりおん。
断っておくが内容は一応健全だ
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