第94話 手前勝手
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ションで流れていく。
音は遠くなりコマ送りのように木の根はサソリにじわりじわりと近づいていく。
「だりゃああああー!」
突然木の根の横方向からバイクが特攻してきたのと同時に迷彩柄のタンクトップ姿の巨体がサソリの外套を掴んで引き倒した。
「!?」
メシャメシャにランプが壊れたバイクが深く木の根に突き刺さるのを確認すると少しだけ顎髭を生やした男性が巨大な炎を掌から放出し、バイクの燃料タンクに引火、炎上させる。
「へっへへ、これでどうだ!前よりは火力が上がってんだろ!化物め」
顎髭の男性は黒のコートの袖口を捲り臨戦態勢を崩さないで見ていた。
サソリが初めてこの世界に飛ばされて来た日、同時刻に銀行強盗を働いていたレベル3の発火能力者の男性だった。
更にサソリを引き倒したのはかつて戦った語尾が特徴的なリーダー格のタンクトップ姿の男であった。
「久しぶりねー。悪いけど貴方の手助けをするよねー」
「き、貴様!」
木の根から人の形をした何かが生み出されてカタカタを顎を鳴らして立ち上がると引き倒されたサソリ目掛けて腕を伸ばしてきたが、タンクトップ姿の男性は身体の中の電気信号を加速させて一瞬で人の形の腕を掴んで建物の外壁にぶつけた。
「水臭いね。俺達を守るために1人で立ち向かうなんてねー。借りは借りね。貴方に手を貸す人は結構いるからねー」
チラリと壁に叩きつけられた木人のような物体が機械的に立ち上がるとぎこちなく首を回してサソリを執拗に狙うが首にサバイバルナイフを突き立てられてバランスが崩れた所を白髪のオールバックの不良が回し蹴りをした。
「ったく......やっと分かったと思ったらこんな訳分からん奴らと殺し合っているなんざなぁ」
タバコを吸いながらサバイバルナイフを抜いているのはレベルアッパー事件で白井とサソリを追い詰めた『偏光能力』の使い手の不良だった。
「テメェがやらなかったら俺達はずっと闇の中だったぜ。今回でチャラにさせて貰うぜ」
オールバックの男が合図をすると続々とガラの悪そうな不良達がサソリをグルリと囲んだ。
サソリは警戒を怠らないように神経とチャクラを張っていたが、バンダナを付けた男がそっと手を伸ばした。
「ありがとうな」
「!?」
「アンタが居なかったら俺達は目覚めなかったよ」
「今度は俺達がやる番だな」
口々にサソリに礼と意気込みを語り、拳をゴリゴリと鳴らしながら筋肉を見せている不良達を一周だけ見渡す
「無理だ......殺されるだけだぞ。それにテメェらが来た所で足手まといだ」
サソリは脚を引きずりながら立ち上がるとフラフラとした足取りで群衆を掻き分けて敵の大将に向かって歩き出した。
左手で胸に空いた穴を庇いながら頬にヒビが入り始めていた。
「勘違いすんなよガキが!誰も
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