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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第94話 手前勝手
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地面に刺さって木の根っこは蛇が攻撃するように先をもたげると一斉に倒れているサソリ目掛けて振り下ろされた。

しかし、木の根っこは何もいない地面を突き刺してしばらく静止する。
感触を確かめるように周囲から巻き上がった砂煙が落ち着いてくると先ほどのラッパー男の背中にサソリが背負われており息も絶え絶えだ。
「ひぃ!」
ラッパー男はゆっくり音を立てないように路地裏へ逃げ込もうとしていた所で視界が晴れて木の根っこと対面していた。

「......」
「......」
ラッパー男は冷や汗をかきながらつま先だけで路地裏へと滑り込ませていくのだが木の根っこは沈黙を打ち消すように動き出した。
「ギョワァァァァァァァァァァァァァァー!!?おかーちゃーん」
一目散に逃げ出す。
後ろを確認する余裕も気力もない。
時折、空気を切り裂く鋭利な音がすぐ背後から聴こえるが速度を緩めずにゴミ箱を飛び越えて行った。

「おい!何してんだ!?早く降ろせ!」
一瞬だけチャクラの流れが止まっていたサソリが意識を回復すると先ほど庇った男性に背負われており、離れようともがくががっしりとした腕に阻まれて脱出できないでいた。
「目の前で子供がいたら助けるだろー!それに何だよ!?軽過ぎるぞ!ちゃんとメシ食ってんのかよ?」
「関係ねぇだろ!」
「人間メシ食わねーとダメだってなぁ......か、かーちゃんに言われてんだ。夏休みに帰ったら食べきれないくらいによぉ!ご馳走用意して待ってんだぁ!」

英晴......
超能力なんてお母さん良く分からないけど
英晴が元気で過ごしてくれれば母さん嬉しいよ
さあ、ご飯にしよう

素朴で割烹着姿の母親が釜からふっくらした米を茶碗に片手によそり始めている記憶が想起されて走る脚を緩めずに無我夢中に走り続ける。

「かーちゃん居んだろ!?そんなに傷だらけでそんなに軽かったら哀しむぞー!」
「!?......おふくろ......か」

サソリは少しだけ顔を傾けた。
母親ならいた......悪いが過去形でしかないし、今でさえも心配を掛けてしまう親不孝者だ。

サソリはがっしり固定されている腰元のチャクラを緩やかにして流動体の砂になると男の背中から滑り落ちる。
「っ!?」
違和感に気付いた男性は急ブレーキを掛けて振り返ると砂は再び人の形となり赤髪の少年へと変容した。
「......さっさといけ......お前の足じゃあ追い付かれる」
「ま、待てよ!」
「ガキに心配される程落ちぶれてねぇだけだ......」

木の根の束がサソリの腹部目掛けて一斉に集中して振り下ろされていく。
目の前の惨劇の未来は写輪眼を通さなくても容易に予想が出来た。
男性にしてみれば事故や事件という非日常的な風景はスローモー
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