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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第94話 手前勝手
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同じだ』
『という事はオレ達が倒れている間に立ち向かっていたのか!?』
『全俺が泣いた』
『他のレベル5は何をしてんだよ!』
『この鎧武者が悪もんか?』
『侍か?』

『うわ光った!』
『やばい!これヤバイって!赤』
『現場に居る人か!どした?』
『倒れて脚を引きずっている。赤い髪の方が......ロンゲの奴がなんか青くなって』
『落ち着けよ』
『負けそうなのか?』
『助けにいけや』
『出来るか!ここまで衝撃波が』
『槍で貫かれているし!このままじゃ死ぬって』
『ん?なんか外やばくね』

「外?へぁっ!!?め
彼は呼吸を一層激しくしながらカーテン越しから朧げに揺れて漏れる光を見て恐怖した。
夕陽とは明らかに違う血のように鮮やかな赤色の光がカーテンを飛び越えて部屋中を照らし出していた。
自分の手に返り血が付いたような錯覚に陥り思わず払い出す。
「ど、どうなって?......」

******

携帯を手に持ったラッパーのような服装をした色黒の男性が物陰に潜みながらサソリと黒ゼツとの戦闘を固唾を飲んで見守っていた。
ド派手な演出よりも泥臭く、うまい具合に光が当たらずに不確定な部分が多いのが事の他紛れもなく現実であると教えている。
倒れた赤髪の少年にのし掛かる巨大な扁平な腕の影に叩き潰される光景を見た時には吐き気がした。
「はあはあ。う、嘘だろ......死んじまったのかよ」

刹那爆発音が響いて咄嗟に逃げようとするが何かに脚を掴まれて盛大に転んでしまった。
「!?」
地面から伸びる真っ白な手にパニックになりながらも引き剥がそうとするが顔がボコっと出てきて先ほど死闘を繰り返していた赤い髪の少年だった。
「はあはあ......すまん」
目の前の少年は自分よりも遥かに幼く見えた。中学生程の小さな腕を見ながら男は混乱したように力を無くした。
「ま、まだ子供じゃねーか......」
ヘタリと座り込むラッパー男にサソリは身体を重怠そうに地面から這い出てくると穴が空いた胸に手を置いた。
「ケガしてるのか?」
「何でもねぇ......さっさといけ......!?」
地面を荒々しく突き立てながら木の根っこが地走って弱っているサソリに追撃し始めた。

「ひぅ!?」
サソリ躱す為に身を屈めたが後方に居るラッパー男を一瞥すると「チイ!」と舌打ちをして姿勢を戻してチャクラを練り上げると砂の盾を作り上げて男の前へと立ちはだかった。
しかし、その盾は脆く木の根っこはいとも容易く貫くとサソリの身体を深く抉った。
「ぐああっ!」
そのままバランスを崩して土を燻り出しながら倒れる赤い髪の子供を目の当たりにしたラッパー男は震える口を大きく噛み締めた。

ま、まさか......この子供
俺を庇って....
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