暁 〜小説投稿サイト〜
とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第94話 手前勝手
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復旧した学園都市で意識を取り戻した者と意識を失わなかった者が必死に現状を把握しようとインターネットや報道機関にアクセスしていく。
半壊したビルと立ち昇る土埃。
夜の闇に掻き消されながらも、SNSを駆使した画像や目撃者からの勇気ある投稿により行われている目論見を洗い出していく。

「な、何が起きているんだ?」
復活したばかりのパソコンを稼働させながら貧乏揺りをしているやや小太りのオタク風の男性がズレたメガネを直しながら数々のサイトを巡る為に磨かれたタイピング能力を最大限に活用して錯綜している情報をまとめ上げている。
床にぶちまけられたスナック菓子を踏み潰しながらも気にする素振りも見せずに拡張用の外付けハードディスクをセットしてスレッドを立て始める。

『学園都市で何が?(拡散希望)』

ネット回線が不安定らしく何度と切れては机を叩き、修復作業をしては再度繋げる。
居場所がここにしかないから
特異な能力を持っていないし、成績だって悪い。
顔ははっきり言えば悪い方だ。
希望を持って都市に入ったのは良いが半年も持たずにドロップアウトして引きこもりのような生活をしている。
そんな暇過ぎる時間を、考えれば考えるほどに死にたくなる現実から目を背ける為に情報共有サイトを立ち上げて日々の最新ニュースからゲーム、アニメ......都市伝説を扱う何でもサイトのようになってきた。

「だ、誰でも良いから反応してくれ!頼むから」
スレッドを立ち上げたのは良いがこんなに焦点の合っていないテーマで議論が活発になるはずがない。
それは分かっている。
サムネになる画像もない、観て欲しい動画もない......公式の発表もない。

コメントが来るまで他のサイトでも情報収集をして行こうとするが更新は今日の午後四時をラストに止まっている。
現在は午後九時を指している。
普通の人だったら帰宅しているし、サイトの更新は活発になり始める時間のはずだ。

ま、まだ帰宅していないのか?
帰れていないのか?
引きこもりのボクだけしか動けないのか?

額から汗が噴き出した。
人と会うのが嫌で学校でも日陰を歩いてきたのに.....流されて惰性だけで生きてきたがネットゲームにハマって昼夜逆転の生活から学校の時間帯に起きれなくなってこの様だ。

ピコン
コメントが投稿されたようで電子音が鳴る。
「きた!」

『分からない。頭が痛い』
返信があった事に彼は喜びを隠せなかった。
『良かった。大丈夫?』
『医者が言うには意識を失っていたらしい』
『気が付いたら瓦礫が目の前にあったんだが』
まるで石を持ち上げた時に蠢く虫達のようにコメントが集まってきた。
枯渇していたさっきまでの瞬間が嘘のように人間らしいやり取りが始まっていった。
『物陰か
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