第2章
戦闘校舎のフェニックス
第19話 修業の成果
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修業が始まってから一週間が経ったある日の夜、俺はふと目が覚めてしまい、そのあと、なかなか寝つけなかったので、水を飲みにキッチンに向かっていた。
「あっ、明日夏」
「ん、イッセー?」
キッチンに入ると、そこには水の入ったコップを持っているイッセーがいた。
「おまえも水を飲みに来てたのか」
「というと、おまえも?」
「ああ」
コップに水を注ぎ、一気に飲み干し、もう一回注ぐ。
「修業の調子はどうだ?」
「まぁ、ぼちぼちってところかな」
そんな感じで、少し他愛のない話をしていると、キッチンに誰か入ってきた。
「明日夏兄? イッセー兄?」
入ってきたのは千秋だった。
「おまえも水か?」
「うん」
千秋は俺たちと同じようにコップに水を注ぎ、水を飲み始めたところでイッセーは踵を返す。
「じゃあ、俺は行くよ」
「待てよ」
俺はキッチンをあとにしようとするイッセーを呼び止める。
「悩みがあるのなら聞くぞ?」
「えっ?」
唐突な俺の言葉にイッセーは素っ頓狂な声を出す。
「別に悩みなんて・・・・・・」
「そんな様子じゃ、俺の目は誤魔化せねぇぞ」
イッセーの表情はどこか、気落ちしている様相を醸し出していた。
いまだけじゃない。修業四日目あたりから、徐々にその雰囲気は発せられていた。
千秋も気づいていたのか、少し苦い表情を作った。
ま、一応、理由は察してはいるんだけどな。
「木場たちと自分との諸々の差に打ちのめされているのか?」
俺の言葉にイッセーは目に見えて反応する。
「・・・・・・・・・・・・わかってるのなら訊くなよ・・・・・・。ああそうさ。ここに来て、いやってほどわかったよ。自分が一番役立たずだって・・・・・・!」
その後、イッセーはポツリポツリと口を開く。
「・・・・・・俺には木場みたいな剣の才能も、小猫ちゃんみたいな格闘術の才能も、朱乃さんみたいな魔力の才能もない。部長みたいに頭がいいわけじゃないし、アーシアみたいな回復の力も、明日夏みたいな培ってきたものもない。圧倒的に俺は弱いんだ・・・・・・!」
イッセーはこの一週間の修業で、木場たちと自分とで、あらゆるものが劣っていることをいやでも感じ取ってしまった。
むろん、木場たちの実力が才能だけでなく、それ相応に培ってきたものがあることは理解しているんだろう。
それでも、圧倒的な差を感じてしまっている。同じぐらい、相応な努力をしても足元にも及ばないと思ってしまうほどに、いまのイッセーは自分に自信をなくしている。
「イッセー兄にだって、他の誰にも持ってないものが──」
千秋はそんなイッセーを励まそうとするが、千秋の励ましをイッセ
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