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彼岸花 [短編集]
ウミホタル
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を担いだ方が余程マシよ」

その後私は蛍といくつかの約束事を交わしたわ。
殺すのは蛍の好みに合った女の人で自殺志願者または死んで当然の犯罪者。
一日に殺すのは一人だけにするとこ、それ以上殺すとさすがに隠し切れないわ。
殺しは絶対に私が一緒にいる時に行う事。用済みになった死体をバラバラに処理するのは私の仕事なのだから、勝手によそで殺されたら処理しづらいわ。
幼い頃から物を隠すのは大の得意なのよ。その証拠に過去十二年間で蛍が殺してきた死体は誰も見つかっていないわ。どう? 凄いでしょう?

「ンンンッ!!」

遠くにいる蛍の大きな声が聞こえてきたわ。きっと絶頂を迎え終わったのね。

「さて。お仕事の時間かしら」

振り返り軽やかな足取りで遠くにいる蛍と女の人だったもの近づくとふわり潮の香りと

「――――甘い」

蛍と女の人だったものはいつもと変わらない、噎せ返るような甘い匂いをまとっていた。




                                          *fan*
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