0206話『武蔵の過去』
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そこで少し驚いた。
入った矢先で武蔵はまだ布団に寝間着のまま入っていていつも整えられている髪型が少しぼさぼさしていて部屋の中も少し荒れていた。
表情も少しやつれていて普段の元気がなさそうだ。
「武蔵! さっき以上にやつれているじゃない!?」
「……なんだ。大和もいたのか」
「ええ。それより武蔵、調子が悪いんだったらすぐに明石さんのところに行きましょう!」
「大丈夫だ……これくらいはすぐに治るだろうしな」
そういう武蔵だけど私から見てもやはり辛そうに見えるのはどうしようもない事実で、
「武蔵。やっぱりレイテ沖海戦の事を思い出しているのか……?」
私がそう聞くと少し表情が険しくなった武蔵は俯きながらも小さい声で「ああ……」と返事を返してくれた。
どうやら私の考えは合っていたらしいけどまさかここまで武蔵の事を消耗させるとは過去の思いは拭えないものなんだな。
「提督からみんなに伝えられた次の作戦名……それを聞いた後からよく悪夢を見るようになったんだ。なにもできずに沈んでいく私の光景がよく夢に現れる……まるで見せつけられているようなそんな光景を何度も見せられて私は、もしかしたらこの光景をまた繰り返すんじゃないかと思い恐怖した……」
「武蔵……」
思わずという感じで大和の声が漏れる。
これは思った以上に重傷だな。
私が解決できる相談の容量を軽く超えているしな。
「私らしくないよな……こんな弱気な姿まで晒してしまうなんてな……」
「ははは……」と武蔵は笑うがそれとは裏腹にギリッと拳を握りしめて歯を食いしばっている武蔵はやはり辛いんだろうな。
西村艦隊のみんなのように思いを共感できるものがいれば話は変わったのだろうけど、武蔵は一人で抱え込んでしまっているからな。
だけど武蔵のセリフを聞いて少しは入り込む余地があるのを感じた私は武蔵の頭を撫でてやりながら、
「武蔵……別に恥ずかしい事じゃないんだ。誰だって悔しい思いを抱えている。だから武蔵も誰かに甘えていいんだ。現にこうやって私と大和に話してくれているじゃないか」
「そうだが……やはり……」
「やはり、じゃないの! 大和は武蔵がこうやって頼って話してくれるのはとても嬉しいわよ。これからもなにかあったら相談に乗ってほしいとも思うわ」
「大和……」
「だからさ、武蔵も抱え込まないでもっとみんなに話していこう。なぁに、みんなで話し合えば自然と疲れや悩みも取れて来るさ。そしていつも通りの頼りがいのある武蔵の姿を見せてくれ」
「提督……ふっ、そうだな。確かに本当に私らしくなかったな……すまなかった」
そう謝ってきた武蔵はそこで一気に立ち上がった。
そして一気に服を脱いで着替え始めるんだけど、
「わわっ! 提督、見ちゃダメですよ!? 武
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