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雪なぞ降るのも
第三章

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「ここまで凄い雪はね」
「見たことなかったわ」
「十センチは積もってない?」
「そうよね」
「舞鶴みたいじゃない」
 その雪が多いことで有名な街の様だというのだ。
「それじゃあ」
「こんな時もあるのね」
「大阪で大雪になる時って」
「ひいお祖母ちゃんもお祖母ちゃんもさっきこんな雪は久し振りって言ってたわ」
「大阪じゃね」
「そうなのね、本当に何も出来ないから」
 今読んでいる本を見ながら言うのだった。
「嫌になるわ、明日は降り止んで欲しいわね」
「そうなのね、あんたにとっては」
「とにかく雪が嫌なのね」
「だからよ、本当に早く降りやんで溶けて欲しいわ」
 このことを切に願いつつだ、純子は本を読んでゲームもしてだった。そうしてこの日は過ごした。昼食におやつ、夕食も楽しんでお風呂も入ってだった。
 明日は雪が止んでいることを願いつつ寝た、その翌朝はというと。
 朝起きると雪は止んでいた、そして一階のリビングに降りると母に言われた。
「バスも電車も動いてるわよ」
「復旧したの」
「ええ、どっちもね」
「よかったわ、じゃあ今日はね」
「学校にも行くわね」
「帰り百貨店にでも寄るわ」
 部活の後でだ。
「そうして遊んでくるわ」
「気晴らしに?」
「そうよ、昨日は本当にね」
「雪で外に出られなくてよね」
「どうしようもなかったから、だからね」
 それで気が晴れなかったからだというのだ。
「遊んで来るわね」
「帰り遅くならない様にね」
「それは守るから」
「そうしなさいね、じゃあ今日はね」
「御飯食べて学校に行くわね」
 こう母に答えて家族で朝食を食べてだった、純子は学校に行った。その通学路でだった。
 登校中に雪合戦をしている子供達や昨日のうちに子供達が外に出て作ったと思われる雪だるまを見てだった。
 自然と笑顔になった、そうしてふと呟いたのだった。
「雪は嫌だけれどこうしたのはいいわね」
 そしてこの時に思った、清少納言の雪なぞ降るのもという言葉はこうした場面を見て書いたのではないかとだ。そうしたことを思いつつ学校に向かった。


雪なぞ降るのも   完


                  2017・10・30
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