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アメリカンハウス
第五章
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「お陰でもうね」
「毎日へとへとか」
「広いから」
 とにかくこれに尽きるというのだ。
「だからね」
「御前にはアメリカの家での生活はか」
「快適だけれど」
 それでもというのだ。
「大変よ」
「じゃあ掃除の業者さんに来てもらうか?」
「それはお金がかかるから」 
「それ完全に日本的発想だな」
「だって日本人じゃない」
 佑衣子は夫に即座に返した、二人で夕食を食べつつ話をしているがメニューはステーキとサラダにスープ、主食はパンでデザートはアップルパイだ。
「だからね」
「お金は節約するか」
「それはあなたもでしょ」
「まあな」
 そう言われると木村もだ、実は無駄遣いをしない性分で趣味は読書と阪神の応援で今はジム通いも加わっている。阪神はアメリカでも応援しているのだ。
「それはな」
「だったらね」
「無駄使いはしないからか」
「そうした人を雇わずに」
 雇えば当然金がかかるからだ。
「私がやってるの」
「運動になるしか」
「お陰でアメリカの食事を食べてもね」
 今もステーキだが摂取カロリーは明らかに日本にいる時より増えている。
「そうしてもこのスタイルのままよ」
「相変わらずいいウエストだな」
「そうよ、ただプールはね」
「泳いでるか?」
「いえ、時間があっても」
 それでもと返した佑衣子だった。
「それでもね、毎日泳がないわ」
「そうなのか」
「私そんなに水泳する方じゃないから」
 だからだというのだ。
「毎日じゃないわ」
「そうなんだな」
「考えてみればこのお家に二人暮らしでしょ」
 佑衣子は夫にさらに話した、日本の感覚では規格外に分厚く大きいステーキを食べながら。そのステーキはかなり安かった。
「そうでしょ」
「ああ、子供早く欲しいな」
 その為の努力もしてはいる。
「やっぱりな」
「そうよね、けれど二人だと」
「この家は広いか」
「そう思うでしょ、あなたも」
「いや、その広さがいいんだろ」
 木村は笑って妻に返した、妻よりも楽しくステーキを食べながら。
「そうだろ」
「そこでそう言うのがあなたね」
「そうか?」
「そうよ、使ってないお部屋もあるのに」
 二人で使う部屋は限られているからだ、二階にある子供部屋なぞは実際に全く使わず空室となっている。
「それでもなの」
「そこまで広いとよくないか?」
「それだけ広いお家に住んでるから」
「実際にそう思うだろ」
 これが木村の意見だった。
「そうだろ」
「そんなものかしら」
「じゃあ聞くが狭い家でぎゅうぎゅうに住むのとどれがいい」
「いえ、適度な広さってあるでしょ」
 佑衣子は佑衣子で自分の意見を話した。
「そうでしょ」
「こんなに広くていい家に住んでもか」
「だから広過ぎる
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