第一章
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アメリカンハウス
アメリカの家に住みたい、木村雄三は子供の頃にアメリカのドラマや映画を観てからこう思っていた。
しかしだ、よく周囲にこう言われた。
「日本じゃ無理だろ」
「そうだよ、あんな家に住むなんてな」
「土地がないだろ」
「それにどれだけ金がかかるか」
「アメリカでないと住めないだろ」
「あんな家には」
「じゃあこうしてやる」
木村は周りに強い声で返した。
「アメリカに住んでな」
「そしてか」
「アメリカの家に住むか」
「そうするのか」
「そうしてやる」
それならというのだ。
「だからな」
「そこでそう言うか」
「本気か」
「そこまでして住みたいのか」
「アメリカに移住してまで」
「ああ、仕事に成功するかして大金持ちになってな」
そのうえでというのだ。
「アメリカに移住してでもな」
「アメリカに住むか」
「そうなってみせるんだな」
「ああ、絶対にな」
こう言うまでだった、彼はとにかくアメリカの家に住みたがっていた。それは彼にとっては人生の目標であり夢だった。
そしてだ、彼は大学に進学して八条商事に就職してだった。
就職早々だ、彼は言った。
「俺はアメリカに行きたいです」
「いきなりか」
「そう言うか」
「アメリカに行きたい、か」
「そう言うんだな」
「そしてアメリカの家に住みたいです」
強い声で胸を張って言い切った。
「是非」
「いきなり言うな」
「アメリカの家に住みたいか」
「よくそんなの言えるな」
「本当に」
「俺は本気です」
目も輝いている、その言葉は完全に本気のものだった。
「絶対にアメリカに行きますんで」
「何か横断何とかクイズみたいだな」
「全くだな」
「アメリカに行きたい行きたいってな」
「まあニューヨークじゃないけれどな」
「アメリカならまあ何処でもいいです」
これが木村の返事だった。
「問題はやっぱり」
「アメリカの家に住みたい」
「そういうことか」
「じゃあな」
「本気でアメリカに行きたいんだな」
「それでアメリカの家に住みたいか」
「はい、アメリカのあのでかい家、プールまである広い庭まであって」
彼は夢を見る様に話した、映画やドラマでよく見るアメリカのその家のことを。
「あんな家に住みたいと思いませんか」
「まあな」
「日本の家って狭いからな」
「どうしてもな」
「一軒家にしても」
「アメリカの家と比べたら」
「それこそだからな」
先輩達もこう言って彼の言葉に頷きはした。
「それはな」
「何だかんだでな」
「家はアメリカだな」
「料理は中国でな」
「奥さんは日本っていうしな」
「奥さんは俺も日本の人がいいです」
木村は笑ってこ
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