第二章
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海軍の服を着る者もいた、特に白い詰襟が人気でだ。若者達も子供達も帝国海軍士官の夏の正装に喝采を送った。
「何だあの恰好良さ!」
「格好良すぎる!」
「もう最高!」
「よくあんな軍服考えたわね!」
「あれ今の自衛隊も着ているらしいぜ」
スマホで検索をした者がこう言った。
「夏の正装らしいな」
「へえ、今も着てるんだ」
「海自さんじゃそうか」
「あの制服も着たいな」
「是非な」
「俺達も」
何と今度は若者達も軍服を着だした、まずはその白い詰襟だったがやがて色々な軍服を着る様になり。
若者達も軍服を着る様になった、すると素行の悪い者達も軍服を着てみるとこうしたことに気付いた。
「何か軍服着てるとな」
「恰好よくてぴしっとしてた服を着てると」
「自然に気持ちが引き締まるな」
「それだけで」
「どうにも」
「悪いことなんてする気がなくなるぜ」
着ているだけでというのだ。
「何かな」
「真面目になろうって思うな」
「真面目で毅然と堂々と」
「軍人さんみたいにな」
「そうなりたいって思うな」
こうしてだ、彼等も真面目になり中年や老人達もだ。
「毅然として生きるぞ」
「着ている軍服みたいにな」
「武人になるんだ」
「真面目で毅然と、そして礼儀正しく」
「日本軍の軍人さんみたいになるぞ」
「あの人達みたいに」
こう口々に言って彼等も武人たらんとなる様になった、それは着はじめた工藤も同じでだった。彼は家で妻に言った。
「何か最近な」
「あなた変わったわね」
「ああ、軍服を着る様になってな」
日課としてそれを着て街を歩く様になってだ。
「兵隊さん、軍人さんに負けない様にってな」
「思ってよね」
「規則正しい生活をする様になったな」
早寝早起き、会社にいた時以上にこれを心掛ける様になったのだ。
「そしてな」
「それによね」
「質実剛健になったな」
その生活がというのだ。
「軍人さんみたいに」
「前から贅沢していなかったけれど」
「引き締まったと自分で思う」
「そうよね」
「本もかなり読んでな」
学問もする様になったというのだ。
「変わった」
「武士みたいね、もう」
「戦前の軍人さんは文武両道でな」
「武士みたいだったのね」
「武士たらんとしていたらしい」
工藤はこのことも知った、軍服を着ているうちに学問を覚えて。
「だからわしもな」
「そうなろうとしているのね」
「そうだ、武人だ」
「あなたもそうなりたいって思ってるのね」
「自然とそうなった」
武人の心を思い出したというのだ。
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