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Sword Art Online-The:World
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や、別に大した事じゃないんだけどさ。僕らが言うセレモニーの話、街中であった何人かにも聞いてみたんだ。でも皆、“そんなモノはない”って言うんだよ」
ハセヲはカイトの言葉に理解を持てなかった。
“誰も知らない”“そんなモノはない”――――ならば、それは自分達が先に情報を仕入れていたという事なのか?
確か情報源はSAOの制作元である『アーガス』だった。調査依頼という名目でならば、ある程度の前情報は流れてくる事はあるだろう。しかし、そういった情報はどうやっても少なからず外部に漏れてしまうものだ。
そしてこの情報社会では、その伝播は非常に速い。そのうえ現在世界中で話題持ちきりのSAOのセレモニー、ユーザーの三分の一は知っていてもおかしくはない情報を、文字通り誰も知っていない。
「……これは、佐伯さんに直接聞いてみる方がよさそうだね」
「だな。なら俺が行ってくる。カイトさんは中の様子見といてくれないか?」
「了解。セレモニーが始まったら僕もログアウトして知らせるよ」
視界の右辺り、その周辺を右の指でなぞると、メニューが開かれる。
メインメニューのその一番下に、ログアウトボタンが存在する。だが、
「…………あぁ?」
ない。有る筈の、ログアウトボタンが、無い。
……んなバカな事があるかよ。
ハセヲは一度メインメニューを閉じ、再度メインメニューを開く。そして同じ動作を繰り返す。
しかし、やはり何度見てもそこには無い。他のメニューは装備やアイテム覧など、基本操作には全く関係のないものばかり。いいやおかしい。そんな馬鹿な事はない。ありえない、あってはならない。
ハセヲはメニュー内のあらゆる項目を開いては閉じてしてみるが、何処にもログアウトの項目が存在しない。
そんなもの、運営が気付かないわけがない。それどころか、ゲーム開始から数時間経たずして強制ログアウトの通達が入りそうなものなのに、それすらもない。こんな事態、あまりに異常過ぎる。しかし、ハセヲはこの状態を知っている。嫌というほど、よく知っている。
「……未帰還者」
「ハセヲ?」
忌わしい記憶が、自分の中に込み上げてくる。
脳髄の奥底にしまっていたあの頃の記憶が、舞い戻ってくる。そんな動揺を?き消すかのように、まるで小さな救いを求めるかのように、ハセヲはカイトに問いただす。
「――――カイトさん、ログアウトメニュー開いてみてくれるか……?」
「え、あ、うん。ちょっと待ってね」
カイトも、ハセヲと同じ動作でメニューを開く。
しかし、カイトも彼と同様にメニュー画面を見た瞬間、同じ表情を浮かべた。その表情は、まるで昔懐かしいものを発見した時の大人のような、自分の幼少の恥ずかしい記録を見た青年のような、過去への驚きと現在への疑念の表情
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