EX回:第11話(改2)<決着そして絆>
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
了いたします。皆様、ごゆっくりお祭りをお楽しみ下さい』
「では提督、私も失礼してよろしいでしょうか?」
五月雨の言葉に私もハッとしたように応える。
「あ、ああ」
彼女に双眼鏡を返して私は改めて海上を見た。そこではブルネイと美保の金剛姉妹たち4人が互いに抱き合って泣いている。身を挺して姉を護ろうとした美保の比叡の一途な姿に心を打たれたようだ。
演習とはいえブルネイの提督に疑われるほど実力が違い過ぎた。それに今回はブルネイは美保と同じ艦娘をあてがって来た。ちょっと趣味が悪いというか……艦娘たちにとっても自分と同型艦を攻撃するのは葛藤があるだろう。そういう一連の想いが演習を終わって一気に緊張が解き放たれたようにも感じた。
抱き合う艦娘を見て、この夏、境港の路地で深海棲艦に対し両手を広げて私を庇った寛代を思い出した。振り返ると、その寛代は相変わらず寝ていた。
私は軽く肩をすくめると改めて海を見た。抱きあう比叡と金剛の姿に私も、いろいろと考えさせられる。
(こういった行動こそが艦娘らしいのかも知れない)
彼女たちにしか分かり得ない絆や想い。それが艦娘が単なる機械ではない重要な証しなのだ。
まぁ、美保の金剛や夕立は今回、本調子じゃなかった。それに演習冒頭の肉弾戦も美保の龍田さんが担当してくれて何とか形にはなった。
お互いの龍田さんの機転によって今回のイベントが滞りなく回ったようなものだな。
もしこれが金剛や夕立だったらゲロゲロ地獄で大惨事。きっとイベントも台無しになったことだろう。
ダブル赤城さんも、お互いに健闘を讃えあっている。また二人の日向同士も戦闘機を取り出して何かを語り合っている。
ブルネイの夕立が美保の龍田さんの側頭部を気にしている。龍田さんの手を当てて心配そうな顔をしていた。でも龍田さんは『大丈夫よ』という雰囲気で笑っている。相手の夕立は強いだけでなく優しさも備えているようだ。素晴らしい。
一方でブルネイの龍田さんが蚊帳の外に押し出されたような美保の夕立を呼びに向かっている。夕立は脱力して座り込んでいたが……直ぐに立ち上がると恥ずかしそうに頭をかいている。
(お前は無線を全然、聞いて居なかったんだろうな!)
やれやれ。真っ直ぐな性格も過ぎると問題だよな。
さて、すべてが丸く収まったようだ。きっとブルネイの大将も水に流してくれるだろう。
私は、ゆっくり席を立つと向こうの席に座っているブルネイの大将の元へ向とかった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ