EX回:第11話(改2)<決着そして絆>
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の中には美保の艦娘たちが大破していた。ボロボロになって抱き合っている金剛と比叡。さらに、よく見れば、その周りにも同様な赤城さんと日向……まぁ彼女たちは実際には戦っていない。同じようにカモフラージュしているだけだ。
私もインカムの音声が無ければ、この状況下で美保の艦娘がブルネイの艦娘たちにボコボコにされたようにしか見えなかっただろう。
「……」
私の背中を擦ってくれていた五月雨が息を呑んでいる感じが伝わって来た。半分振り返って彼女を見ると両手で口を押さえている。
(心配してくれているのか? 五月雨)
何て健気な。
(……ああ、そうか)
特殊な周波数だから駆逐艦の彼女には、演習の艦娘たちの会話は伝わらないか。
ただ彼女は本気で美保の艦娘たちを心配してくれているようだ。
何だか申し訳ない。
(……本当のことを言うべきか)
私は躊躇した。
(だが喋ったら、この真面目な子は別の意味で衝撃かな)
実況のアナウンス。
『こ、これは……?』
と同時に直ぐに本部席の判定官が双眼鏡で海上を覗いている。
彼は何度か頷くと手にした旗を高く上げた。
それを受けて実況も叫ぶ。
『美保鎮守府旗艦・金剛の轟沈判定が出ました! 我がブルネイ鎮守府の勝利ですっ!』
『しかし、これは呆気ない終わり方でしたねぇ。まさか航空機の爆撃で終わるなんて』
……その遥か向こうでも呆気に取られて立ち尽くしている美保の夕立がいた。
『えぇ! 負けたっぽい?』
ガックリとうなだれる夕立。それでも闘争心はあったんだな。
(偉いぞ、夕立)
ちょっと見直した。
しかし意外に美保の金剛は粘った。演習の時間も予定よりも、かなり延長したらしい。
(やはり今回の旗艦は要領が良い赤城さんにしておくべきだったか)
相手の武蔵様が、この演習の流れの解説をし始めている。それを感心して聞いている観客たち。流暢な解説だが……もしや、この演習の裏の事情を知りながら敢えて違う内容を即興で解説しているのだろうか?
私はインカムを外して武蔵様を見た。
「恐らく彼女は分かっているだろうな」
「あ、済みません」
私を介抱してくれていた五月雨は自分の手が疎かになったことを詫びようとした。
私は手を上げてそれを軽く制した。
「ありがとう五月雨……だいぶ楽になったよ」
その言葉に彼女は恥ずかしそうな表情を見せた。本当に純朴な子だ。
水柱による水蒸気で視界が落ちている上に戦闘も終わったので観客の多くは海上を注目していない。座っていた人たちも立ち上がって屋台を覗いたり他のイベント会場へ移動し始めていた。
会場にもアナウンスが流れる。
『以上で演習イベントは終
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