第26話 舞台の始まり
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思っていたが見つからない。
「見つからないな、一人では区から出ないと言っていたがこれはもしかすると……」
「誰かに誘拐された?」
「分からない。だがもしそうなら俺たちだけじゃ解決できない問題になってしまう」
もしかしたら自分たちが想像しているよりも不味い状況なのかもしれない。そんなことを考えているとふと足元に何かが当たる感触がしたので覗き込んでみる、そこにいたのは白い毛の小猫だった。
「小猫……?」
「飼い猫か?随分と人懐っこい奴だな」
確かに野良猫と違い妙に人に慣れている、それに首輪もしているからこの子猫は飼い猫なんだろう。
「ふふっ、くすぐったいよ」
足にすり寄ってくる小猫を撫でるとにゃーんと嬉しそうに鳴いた。
「案外仲間だって思ってるんじゃないか?」
「わたし、猫っぽい?」
「日向ぼっこが好きだし自由気ままだし掴みどころが分からない、猫そのものじゃないか」
リィンにそう言われると確かに自分は猫っぽいと思う、リィンに撫でられるのも好きだしね。
「にゃあ」
「あ……」
小猫はわたしの手から離れて行ってしまった。
「……残念」
「猫は気まぐれだからな……っておい、あの小猫、地下水道に入って行ってしまったぞ」
小猫は近くにあった地下水道への入り口に入っていってしまった。普段は閉まっているはずなのにどうして開いてるんだろう?
「どうしよう、リィン……」
「少し不用心じゃないか?地下には魔獣が住んでいるんだぞ?」
帝都ヘイムダルの地下には魔獣が住み着いている、小猫なんて格好の餌になりかねない。
「リィン、追いかけよう」
「ああ、ノノちゃんももしかしたら地下に行ってしまったかも知れないし地下に行くぞ」
わたしとリィンは小猫を追って地下水道に向かった。
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「初めて地下水道に入ったけど中々広いね……」
地下水道は思っていたよりも広く、わたしの声が反響して聞こえた。
「辺りに気配は感じない、魔獣もいないが小猫も奥に行ってしまったか」
「それでどうするの、リィン?」
「本来捜索するなら二手に分かれた方がいいんだが俺達は地下水道の地理を把握していない、それに今は武器もないしな」
今のわたしたちは武器を持っていない、昨日『ワトソン武器商会』にメンテナンスで出しているからだ。
「一応ユン老師から素手での戦闘方法を学んではいるが油断はしないように先に進んでいこう」
「了解」
わたしとリィンは魔獣を警戒しながら先に進んでいく、途中で何回か魔獣に遭
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