第26話 舞台の始まり
[3/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」
「俺はチョコバナナクレープ、フィーは何にするんだ?」
「わたしはイチゴミルククレープとブルーベリーソースクレープをそれぞれ一つで」
「畏まりました。ふふ、可愛らしい彼女さんですね、今日はデートですか?」
「まあそんなところです」
か、彼女って……そう見られてるのかな?なら嬉しいかも……でもリィンは店員の冗談と思ってるのか愛想笑いをしていた。でも否定しなかったのはやっぱり嬉しい。
「それでは暫くお待ちください」
店員の人はさっそくクレープの生地を焼き始めた、香ばしい匂いにお腹が空いてきた。
「はい、お待たせいたしました。チョコバナナクレープとイチゴミルククレープ、そしてブルーベリーソースクレープです。三つで3000ミラになります」
リィンはミラを店員の人に渡して私たちはクレープを受け取った。
「じゃあそっちのベンチにでも座って食べよう」
「うん」
リィンと一緒に近くのベンチに座ってクレープを食べる事にした。わたしは早速イチゴミルククリームをかじる、イチゴの甘酸っぱい酸味とミルクの優しい甘さが口に広がる。次にブルーベリーソースクレープをかじる、イチゴとはまた違った甘酸っぱさがたまらない。
「美味しい……」
「満足してくれたようで何よりだ」
リィンも笑みを浮かべながらチョコバナナクレープを食べていた。リィンは否定してるけど大の甘い物好きだ。今も普段は浮かべない満面の笑みを浮かべながらチョコバナナクレープを食べている。
因みに何で甘い物好きなのを隠してるのかというとゼノに「甘いもんが好きなのか?女の子みたいなやつやなぁ〜」とからかわれたからだ。ゼノはマリアナに叱られていたがリィンも子供っぽいと思ったのか甘い物好きなのを隠しだした。でも結局それが子供っぽいのは内緒だ。
「……ふふっ」
そんなリィンが可愛くて思わず笑ってしまった。さっきは変わってしまったと思ったがやっぱりリィンは昔のリィンだ。
「ん?どうかしたのか、フィー?」
「何でもないよ、ふふっ」
「何だよ、変な奴だな。もしかしてチョコバナナクレープを食べてみたいのか?」
「なら食べさせあいっこしよ?はい、あーん」
「いや、人前では流石に……」
「……」
無言でリィンを見つめると、彼は観念したのかわたしのクレープを食べた。
「……分かった、分かったから上目遣いで見てくるな……うん、美味い」
「じゃあ次はリィンがあーんてして?」
「はいはい、ほら、口開けて」
「あーん……ん、美味しい」
わたしはそんな変わらないリィンが大好きだから、傍にいたいんだって改めて思った。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ