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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第26話 舞台の始まり
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だしな…何処かでおやつでも買う事にするか」
「ならクレープが食べたいかな」
「じゃあドライケルス広場に行くか、あそこならクレープを売ってる屋台があったはずだしな」
「それじゃレッツゴー」


 わたしは起き上がってリィンの手を引く。


「おいおい、お腹が空いてるからってそんなに焦るなよ、フィーは食いしん坊だな」
「むっ、女の子にそんなことを言うのは良くないよ。リィンはデリカシーがない」
「確かに失言だったな。すまない」
「ならクレープ二個買ってもらってもいい?」
「分かったよ」


 そんな会話をしながらリィンと一緒にドライケルス広場に向かった。


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 トラムに乗ってドライケルス広場に降りると目の前には大きな紅い建物が堂々と存在していた。


「バルフレイム宮殿、相変わらず凄まじい大きさだな……」


 リィンがため息を吐くようにそう言うがわたしも同感だ。バルフレイム宮殿、エレボニア帝国を収めるユーゲント三世など王族が住む宮殿で帝都に来るたびよく見るが相変わらず真っ赤で大きい。


「流石はこの国を治める王族が住むだけあって豪華絢爛だな」
「まあわたしたち猟兵には一生縁のない場所だもんね」
「はは、違いない」


 大陸を行き来しながら戦場を生業とする猟兵と優雅で煌びやかな生活を送る王族……まさに対極に当たると言ってもいい存在だ。


「フィーは猟兵よりももっと煌びやかな生き方がしてみたいか?」
「ん、分かんない。自分がああいう所で生活してるのがまずイメージ出来ないし、ドレスとか着てるなんて性に合わない」
「確かに俺も自分がそんな生き方してるなんて想像も出来ないな。まあもしかしてだけど俺が団長じゃなくて違う人物に拾われていたら貴族になっていた、なんてこともあったかもな」
「そうかな?でもそうなってたらわたしは妹じゃなくなってるって訳だし……」


 それなら妹だということも気にしないでリィンと恋人になれるのかな?でもこの関係も捨てたくないしなかったことにしたくない。


「まああくまでたとえ話さ、俺はルトガー・クラウゼルの息子でフィー・クラウゼルの兄であるリィン・クラウゼル……それは何があっても変わることは無いさ。だからそんな寂しそうな顔するな」


 ポンポンッとあやすようにリィンが頭を撫でてきた。むう、子供扱いされてるみたいでちょっと嫌だけどわたしの気持ちを理解してくれることが嬉しいから結局はわたしはされるがままになっている。


「ほら、クレープ買いに行こうぜ。俺もお腹が空いてきちまったからな」
「うん、行こっか」


 リィンと手を繋いでクレープが売っている屋台に行く。


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