五 鈴鳴る向こう
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齢を感じさせない軽い足取りで、ナル達の前に降り立つ。
隠居した身であり里の相談役、その上、かつて熟練の傀儡師と謳われたチヨには里の上役もなかなか口を出せない。それを逆手に取って、チヨは口許に弧を描いた。
「可愛い孫を久しぶりに可愛がってやりたいんでのう…」
どこか妖しい皮肉げな言葉の裏には、孫に対する複雑な感情も僅かに感じ取れる。
かつて砂隠れで傀儡部隊の天才造形師と謳われた『赤砂のサソリ』。
彼の実の祖母であるチヨは、大きな決意を胸にすると共に、感慨深げに眼を細めた。
見渡す限りの砂海と暗澹たる森の狭間。
広大な砂漠を抜け、鬱蒼とした木立を歩くデイダラとサソリ。
その傍らで羽ばたく巨大な鳥が捕らえている我愛羅は未だ目覚める気配がない。
「なるほどな…起爆札に見せかけての毒ガスか…ねちっこい旦那の好きそうな手段だな、うん」
「誰がねちっこいだ、ぶっ殺すぞ」
サソリが砂隠れの里に残した更なるトラップの話を聞いて、デイダラが軽く口笛を吹く。
感嘆しつつもわざわざ揶揄してくるデイダラを、サソリは苛立たしげに睨んだ。
「さっき旦那が相手にした砂忍の治療で困ってるのに、毒ガスで病人は増える一方…今頃、里は阿鼻叫喚だな、うん」
木ノ葉からの救援である腕利きの医療忍者…いのとヒナタの存在を知らぬデイダラが嘲笑すれば、サソリは僅かに肩を竦めた。
「…と言っても、時間が無かったから、毒ガスのほうは大した効果はねぇ…毒に詳しい人間なら十分治療できる程度だ」
「毒に詳しい人間…?誰だ、うん」
デイダラの問いに、サソリは口を噤んだ。
毒に詳しい、祖母の姿が彼の脳裏を一瞬過ぎってゆく。
暫しの沈黙の後、サソリは一言、「さあな…」と答えた。
サソリの妙な返答に、デイダラは怪訝な顔をしたものの、すぐに目線を下に向ける。
清涼な渓流。切り立った崖の端で立ち止まり、下を覗き込めば、唐紅の社が大きな奇岩の前に鎮座している。
急にぽっかり開けた森を背後に、険しい崖から降り立った二人は唐紅の社へ足を進めた。
岩壁に穿たれた穴を塞ぐように佇む社。そしてその穴には奇怪な岩が嵌っている。
我愛羅を捕らえる鳥を伴って、社の前で印を結べば、奇岩怪石の中央に貼られた『禁』という御札から赤い光が迸った。
ややあって、途轍もなく大きな奇岩がズズズ…と上へ浮き上がる。岩から滴る水が糸を引き、小さな滝を作り上げた。
奇岩が浮くにつれ、ぱっくりと口を開ける洞穴。
社を潜る。
滝を抜け、洞窟の中へすうっと入った巨大鳥が我愛羅を下ろす。
途端、白煙となって掻
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