五 鈴鳴る向こう
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ナタの声音にはしっかとした決意が秘められていた。
綱手の弟子であり、同じ医療忍者のいのが、ヒナタの宣言に驚愕の表情を浮かべる。
「な…!ヒナタ、あなた…」
「私は大丈夫です。ここの患者さん達をきちんと治療して、後からナルちゃん達を追い駆けるから」
「ヒナタ、でも…っ!」
思わず身を乗り出したナルに、ヒナタは穏やかに微笑んだ。
診察している身、額をつたう汗が窓から注ぐ陽光で、キラリ光る。
「し、心配しないで、ナルちゃん…。『白眼』を持つ私なら、そんなに大変じゃないから…ね?」
「……そうなんだってば…?」
ヒナタに説得されつつあるナルをよそに、いのは秘かに眉を顰めた。
いくら『白眼』を持っていたとしても、たった一人でこの人数を治療するのは大変に決まっている。
けれども同時に、ヒナタの考えをいのは察した。
ヒナタは、ナルとカカシだけを、我愛羅奪還に行かせまいとしているのだ。
班につき一人は医療忍者が必要。特に、なりふり構わず敵の許へ向かってしまうナルの身を案じているのだろう。
本当は自分こそがナルと一緒に行きたいだろうに、適材適所を考え、ヒナタはいのに頼んだのだ。
頭に血が上って、敵に突っ込んでゆくナルを止めるストッパー役兼医療忍者として。
ヒナタの視線から、彼女の意図を感じ取って、いのは軽く溜息をついた。
承諾の意の吐息だった。
「…わかった。命に別状がある緊急の患者はいないから、ヒナタに任せるわ〜」
「う、うん…ありがとう、いのちゃん…すぐ追い駆けるからね」
二人のやり取りを目にして、聡いカカシは彼女達の思いやりと成長っぷりに、眼を細める。
ヒナタだけではなく、ここには砂の医療忍者もいる。
だがヒナタの助けなくては、患者が回復するのは聊か難しい。状況から考えて、ヒナタの判断は間違っていないだろう。
なんせ一刻も早く我愛羅を助けに行くのが、一番の目的なのだから。
ヒナタに患者を任せ、早速パックンから得た情報を頼りに、ナル・カカシ・いのが砂隠れの里を出発する準備をする。
しかしながら、一緒に我愛羅の救出へ向かうはずだったテマリを始めとした砂の手練れの忍び達は、バキに止められた。
風影の不在が公になれば、他の里が攻めてくる可能性もあるという、里を第一に考える上層部の決定で、テマリは国境警備を余儀なくされた。
反論するも、苦々しい表情を浮かべているバキの顔を見れば、彼もまた上からの命令を渋々聞いたということが窺える。
板挟み状態となった砂忍達の頭上から、突如降ってきた声の主は、思いも寄らぬ人物。
「わしが行く」
決意を瞳に湛えて宣言したのは、砂隠れの里の相談役のチヨだった。
砂風に服を靡かせ、高
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