巻ノ百九 姉妹の絆その十三
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「それと比べるとな」
「まさに何もない」
「見てこれは駄目だと思ったわ」
当時の徳川家二百五十万石の本城には全く相応しくなかったというのだ。ましてや城下町なぞ影も形もなかった。
「到底な」
「しかしです」
「それもじゃな」
「しかと治めればです」
「天下一の町となるか」
「はい」
まさにというのだ。
「拙僧がこれまで申し上げてきた通り」
「そして今まさにか」
「出来てきております」
「あの江戸がのう」
「さらに賑やかになっていきますぞ」
「これからもか」
「泰平になればさらに」
こうもだ、天海は家康に話した。
「それが拙僧の願いです」
「天下が泰平になり町が栄える」
「そうしたこそがです」
「お主は長く生きていてそれだけ戦乱を見てきたからか」
「おそらく余計に想っているのでしょう」
自分でもこう言うのだった。
「やはり」
「左様か、ではわしはな」
「はい、泰平と繁栄をですな」
「江戸、そして天下にもたらそうぞ」
「さすればこの天海これからも」
天海は家康に畏まって応えた。
「尽くさせて頂きます」
「頼むぞ」
家康も応える、占いの他にそうしたことも話してそのうえでだった。天下の為の政をそのかなり老いた身体で進めていくのだった。
巻ノ百九 完
2017・6・1
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