巻ノ百九 姉妹の絆その十
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「法を守らねばならず」
「いざという時の裁きはじゃな」
「受けねばなりません」
「それが政の理じゃな」
「はい、ですから」
「それ自体はお主も賛成じゃな」
「ですが」
それでもとだ、崇伝はまた家康に言った。
「これは大きなことですな」
「わかっていて言っておるのじゃ」
「ことと次第によっては」
「辰千代、そしてあ奴の藩にもな」
「断を下されますか」
「天下の為にな」
「そして伊達家も」
「あの家、そしてあの男は特にじゃ」
伊達政宗、この男については家康は猛禽を見る目で語った。
「危険な野心を持っておる」
「天下を狙っているからこそ」
「しかも力もある」
伊達家の仙台藩の力、そして政宗自身の資質である。
「あと二十年早く生まれていたら奥羽を一つにして天下の争いに出ていたであろう」
「ですな、あの方ならば」
「そうした者だからこそな」
「ここで、ですか」
「潰せる様ならじゃ」
「潰されますか」
「その野心、衰えておらぬわ」
政宗をよくわかっているからこその言葉だ。
「だからこそ辰千代の奥にあ奴の娘を迎えた」
「その野心が戦を起こされる」
「そう思ってな、しかしその野心がじゃ」
「あの時は豊臣家に向かいましたが」
「今度は幕府に向かうやも知れぬ」
「牙を剥く前に」
「倒す」
まさにやられる前にというのだ。
「そうするぞ」
「大久保家と伊達家、そして辰千代様に悪いつながりがあれば」
「全てな」
「上総介殿はそこまで見ておられたでしょうか」
「どうであろう、一度本人に聞いてみるか」
是非にというのだ。
「そうしてみるか」
「そうされますか」
「そして半蔵にはな」
「そうしたこともですな」
「調べてもらおう」
切支丹を結ぶ糸にした大久保家と伊達家、そして松平忠輝の関係もというのだ。ただ大久保家と切支丹のことだけでなく。
「そうするか、そしてな」
「拙僧もですな」
「虚無僧や禅宗の坊主達から話は聞けるな」
「はい、今も」
「ではじゃ」
「是非にですな」
「その者達から聞け」
彼等のことをというのだ。
「密かに送り調べもしてな」
「そのうえで」
「しかと聞いてじゃ」
そしてというのだ。
「見極めてわしに知らせてもらうぞ」
「そのうえで」
「わしに助言も頼む」
そうしたこともというのだ。
「わかったな」
「畏まりました」
崇伝も応えた、そしてだった。
家康はまず正純から話を聞く前に天海を呼び彼の八卦でこの度のことを占ってもらった。その時にだった。
天海は家康にだ、強張った顔でこう言った。
「占いの結果ですが」
「どうであったか」
「凶と出ました」
「左様か」
「それもかなり悪い」
凶は凶でもとい
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