第四百八十一話
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第四百八十一話 ゆっくりと進むと
華奈子は美奈子と共に学校から塾までいつものペースで歩いて進んだ、すると街のことがよく見えた。
「車多いわね」
「そうでしょ」
「しかも角も多いし」
「だから注意して進まないとね」
角を急に駆けて出たりすればというのだ、具体的には。
「交通事故も有り得るわよ」
「そうよね、それに躓くこともね」
華奈子は足元をここで見た、何でもないアスファルトの道であるがだ。
「有り得るわね」
「それでこけたりもするから」
「怪我したらね」
「痛いし大怪我なんかしたら」
交通事故に遭ってだ。
「大変でしょ」
「確かにね」
「だからね」
「逸る気持ちは抑えて」
「あえてゆっくり行けばいいのよ」
今の華奈子の様な状況の時はというのだ。
「急ぐ状況でもないし」
「そうなのね。ただ美奈子って急ぐことあまりないわよね」
「ええ、焦って周りを見ていなかったら」
「周りから来るものが見えなくて」
「怪我をするから」
だからだというのだ。
「それでなのよ」
「いつも周りを見ているのね」
「急いでいる時もね」
「そして焦らない」
「そうしてるの。私だって急ぐ時はあるわよ」
実は美奈子にしてもそうした時があるとだ、華奈子ににこりと笑って話した。
「実際はね、けれどね」
「それでもなの」
「そう、周りを見て動く様にしてるから」
そうした急ぐ時もというのだ。
「華奈子にはそう見えると思うわ」
「急いでることは急いでるのね」
「ただ周りは見る」
そうした時もというのだ。
「そこはね」
「しっかりしてるのね」
「そうしてるつもりなの」
自分の隣にいる華奈子ににこりと笑って話す。
「私はね」
「じゃああたしもね」
「これからはそうするのね」
「ええ、急ぐ時も周りを見ることをね」
「車とか人とかも見てね」
「そうして冷静にね」
「行けばいいと思うわ」
華奈子に話しながら美奈子も進む、華奈子は美奈子にまた一つ教えてもらった。そしてそれは美奈子もだった。
第四百八十一話 完
2017・9・17
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