第三幕その十
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「一つ思い出したことがあったよ」
「何?思い出したことって」
「日笠さんと何かお約束してるの?」
「そうなの?」
「うん、今度の和歌会のことでね」
まさにこれのことでというのです。
「相談したいことがあるらしいんだ」
「あっ、そうなんだ」
「じゃあ日笠さんとなのね」
「今度お話するのね」
「そうするのね」
「そうだよ、何かそれとね」
さらにというのです。
「この学園の桜で千年桜があるね」
「あっ、高等部にね」
「あそこにね」
「そのお花についても相談があるらしいんだ」
それでというのです。
「明日日笠さんとお会いするんだ」
「それは何より」
「日笠さんも頑張ってるわね」
「このまま頑張って欲しいね」
「是非共」
先生のお言葉に笑顔になった皆でした。
「神様のご加護があらんことを」
「日笠さんにね」
「宗教違うかも知れないけれど」
「それでもね」
「うん、日笠さんみたいな人にはね」
先生も日笠さんは好きです、ただしお友達と思っているのでその立場からこう言ったのでした。
「神様のご加護があらんことを」
「うん、先生以上にね」
「素晴らしいご加護があればいいね」
「先生はもう満足だっていうけれど」
「日笠さんには最高のご加護があって欲しいよ」
動物の皆はかなり真剣に日笠さんのことを思いました、そうしたことをお話してそうしてでした。
ふとです、先生はこんなことも言ったのでした。
「そういえば日笠さんは和歌会に出られるそうだけれど」
「うん、それじゃあいいね」
「先生も参加するしね」
「いや、いいね」
「日笠さんも歌って」
「それで先生も参加する」
「これでいいと思うよ」
「一緒にね」
「先生の分までね」
頑張って欲しいと言う皆でした、皆が思うことと先生が思うことは全く違いましたがそれでもでした。
先生も皆も日笠さんには頑張って欲しいと思っていました、そんなことを思ったお昼でしたが。
晩御飯の時にです、王子は先生のお家で御飯を一緒に食べていました。今晩のメニューはお鍋でした。
お鍋の中の鶏肉をお箸で自分のお椀に入れてです、王子は先生に対してこんなことを言ったのでした。
「もうそろそろね」
「お鍋もだね」
「季節が終わりだね」
「そうだね、今年の三月は寒いけれど」
それでもというのです。
「もうそろそろね」
「暖かくなるよね」
「そう思うよ」
「幾ら何でもね」
王子は困り果てた様な顔で言うのでした。
「今年の三月は寒過ぎるよ」
「あれっ、イギリスの春はもっと寒いじゃない」
トミーも一緒に食べています、三人でコタツを囲んでいます。
「そうだったよね」
「うん、けれどね」
「日本にいたら」
「そう、慣れてね」
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