第三章
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「私昔から山好きでね」
「それでなの?」
「そんなに山で隠れるとか思えるの?」
「すいすい進めて」
「お水の飲み方とか集め方も詳しいし」
「梅干しとかの話も」
「そうなの、まあそういうことだから」
真実を隠しての言葉だった。
「別に何もないわ」
「そうなんだ」
「やけに山に詳しい気がするけれど」
「しかも山に慣れていて」
「妙に忍者っぽいけれど」
「気のせいなのね」
「そうなのよ」
こう話してだ、唯は林間学校での自分の行動の真実を隠した、そのうえで林間学校が終わって家に帰ってだ。
祖母に忍者の携帯食を一緒に作りながらその話をするとだ、祖母にこう言われた。
「そうした時もだよ」
「隠すものなの」
「忍者は隠れるものだっていつも言ってるだろ」
「それで逃げるものよね」
「だから早く駆けて高く跳ぶんだよ」
全ては逃げる為にというのだ。
「だからどうしてね」
「怪しまれる様なことを言ったりするか」
「普通にしてればいいんだよ」
「普通になのね」
「部活位は速く走って高く跳んでいいよ」
その時はというのだ。
「部活は汗をかいて楽しむものだからね」
「それはいいのね」
「そうだよ、けれど普段林間学校でもね」
「忍者かと思われる様なことは」
「しないことだよ」
「そうなのね、けれどどうしてなの?」
携帯食の材料をすりこぎですり潰しつつ祖母に尋ねた。
「今時もう忍者なんて何でもないのに隠すの?」
「うちが忍者の家系だってことをだね」
「代々忍術を受け継いでいることも」
「それは決まってるだろ、忍者は隠れるものだよ」
「だからなの」
「自分から忍者だって言わないものさ」
それでというのだ。
「それで誰にも言わないんだよ」
「隠しているのね」
「家の中だけのことでね」
「そうした理由があったのね」
「そうだよ、じゃあわかったらね」
「これからもね」
「私達が忍者であることは隠すんだよ」
「忍者だからなのね」
唯は祖母のその言葉に頷いた、まだ隠す必要はないと思いながらも忍者は隠れるものだと言われてそうかもとも思って頷いた、そうして今は携帯食を作るのだった。
実はくノ一 完
2017・10・29
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