暁 〜小説投稿サイト〜
KANON 終わらない悪夢
97香里と栞も秋子ちゃんに起こされた
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
納得させられない。
「ど… どこに?」
 もう全身を震わせ、座ってもいられない様子の香理、ここで致命的な事を言えば、もう香理は立ち直れないかも知れない。
「お前の」
 祐一は必死になって嘘を考えた、そこでテレビでありがちなラストシーンを思い出す。
「お前の、お腹の中にいるじゃないか」
「えっ?」
 僅かに落ち着きを取り戻し、震えが収まった香理。
「栞の体は病気で壊れてしまったけど、新しい体がお前の中で育ってる、今度は俺とお前の子供として」
 我ながら上出来な嘘だと思った、後は香理がそれを受け入れてくれれば救われる。
「あっ、ああっ!」
 涙を流し、自分のお腹を大切そうに抱きかかえる香理。
「こんな所にいたのねっ!ばかっ、心配したんだからっ!」
 嘘は香理の心に届いた、もし本当に妊娠していれば、香理は立ち直れるかも知れない。
 心と魂が、魔物に食われ果てて闇に堕ちるまでは。
「もう「お母さん」なんだから、しっかり食べて、丈夫な子に育ててやれよ」
「うん… グスッ、うっ、うわああっ」
 テーブルに突っ伏して泣き続ける香理、その肩に栞のストールを掛けた。

 その頃、病院の霊安室には、不気味な影が5つ集まっていた。
(ふふっ、栞さんのカッターを使うとは恐れ入ったね。 でも、あゆちゃんが泣くから楽に死なせてあげないよ)
 残り3体の魔物、真琴、美汐、佐祐理が穢れた肉体、人に見える人形で再生され、解剖されて魔術器官の観察も済ませた栞の亡骸に手をかざした。
 天使の人形と一弥も加わって「瀕死」になっていた魔物に力を与えて行く。

 夜間、残った自分の魔物を始末してやろうと思い立ち、舞が空間ゲートを開いて転移する。
 その場所を検知する能力は無かったが、天使の人形によって無理やり脳内に書き込まれた。
『…病院、牢屋の中』
 舞の目の前に広がったのは、病院に収容された香里の部屋だった。周囲は警戒されて、扉も外から施錠されていたが、まさか空間転移してくる暗殺者が来るとは考慮されていない。
『…香里、貴方も死なせてあげる、妹と同じ所に送ってあげる』
 祐一がいる前では少し元気を出した香里だが、魔物に食われてしまった体では子供は出来ない。
 子供に必要な命や内蔵まで食われてしまったのを知っている舞は、処刑人のように剣を構え、その事実を心の声で知らされた香里も、背を向けて罪人のように膝を屈して手で合掌して祈りを捧げた。
(最後の一体は舞の中に帰っておいで、君が勝者だよ)
 魔物の中でも祐一を誰が食べるのかが争われたようで、最後に残った左手が勝者となって、空っぽだった舞の体に戻された。
『…もうこれ以上苦しまないで良い』
「ええ…」
 剣を逆手に構えた舞が後頭部、頚椎から脳を狙う…

『はい、ここまでですよ、起
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ