97香里と栞も秋子ちゃんに起こされた
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納得させられない。
「ど… どこに?」
もう全身を震わせ、座ってもいられない様子の香理、ここで致命的な事を言えば、もう香理は立ち直れないかも知れない。
「お前の」
祐一は必死になって嘘を考えた、そこでテレビでありがちなラストシーンを思い出す。
「お前の、お腹の中にいるじゃないか」
「えっ?」
僅かに落ち着きを取り戻し、震えが収まった香理。
「栞の体は病気で壊れてしまったけど、新しい体がお前の中で育ってる、今度は俺とお前の子供として」
我ながら上出来な嘘だと思った、後は香理がそれを受け入れてくれれば救われる。
「あっ、ああっ!」
涙を流し、自分のお腹を大切そうに抱きかかえる香理。
「こんな所にいたのねっ!ばかっ、心配したんだからっ!」
嘘は香理の心に届いた、もし本当に妊娠していれば、香理は立ち直れるかも知れない。
心と魂が、魔物に食われ果てて闇に堕ちるまでは。
「もう「お母さん」なんだから、しっかり食べて、丈夫な子に育ててやれよ」
「うん… グスッ、うっ、うわああっ」
テーブルに突っ伏して泣き続ける香理、その肩に栞のストールを掛けた。
その頃、病院の霊安室には、不気味な影が5つ集まっていた。
(ふふっ、栞さんのカッターを使うとは恐れ入ったね。 でも、あゆちゃんが泣くから楽に死なせてあげないよ)
残り3体の魔物、真琴、美汐、佐祐理が穢れた肉体、人に見える人形で再生され、解剖されて魔術器官の観察も済ませた栞の亡骸に手をかざした。
天使の人形と一弥も加わって「瀕死」になっていた魔物に力を与えて行く。
夜間、残った自分の魔物を始末してやろうと思い立ち、舞が空間ゲートを開いて転移する。
その場所を検知する能力は無かったが、天使の人形によって無理やり脳内に書き込まれた。
『…病院、牢屋の中』
舞の目の前に広がったのは、病院に収容された香里の部屋だった。周囲は警戒されて、扉も外から施錠されていたが、まさか空間転移してくる暗殺者が来るとは考慮されていない。
『…香里、貴方も死なせてあげる、妹と同じ所に送ってあげる』
祐一がいる前では少し元気を出した香里だが、魔物に食われてしまった体では子供は出来ない。
子供に必要な命や内蔵まで食われてしまったのを知っている舞は、処刑人のように剣を構え、その事実を心の声で知らされた香里も、背を向けて罪人のように膝を屈して手で合掌して祈りを捧げた。
(最後の一体は舞の中に帰っておいで、君が勝者だよ)
魔物の中でも祐一を誰が食べるのかが争われたようで、最後に残った左手が勝者となって、空っぽだった舞の体に戻された。
『…もうこれ以上苦しまないで良い』
「ええ…」
剣を逆手に構えた舞が後頭部、頚椎から脳を狙う…
『はい、ここまでですよ、起
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