暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
Riders/疾風
[8/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
間、そんな道はおれの目の前から消えていたんだ!!!」

そして、風は運ぶ


「倒すなら倒せ。殺すなら殺せ。消し去るのならやってみろ。だがな、その最後の一瞬が、俺の命を突き落とすその瞬間まで。俺は絶対にここから逃げ出さない!!!」

指を立て、足元を指す。
まるでそこに道があるかのように、まっすぐ青年は敵を睨みつけた。



とはいえ

「そうか・・・・」

目を閉じ、その三文字の言葉を咀嚼するようにつぶやく。
そして、彼もまた目的のためにそれを実行する。


「ならば・・・仕方ないな」

「ああ。俺たちには、前に進むしか道は残されていない」

セルトマンが前に出る。
距離にして、蒔風の前方15メートル程。

さらにマジュウたちが下がり、囲む円が大きくなった。
その中心にセルトマンと蒔風が立つように、まるで見届け人であるかのように、十三体のマジュウが彼らを眺めていた。



セルトマンの腕に、魔力が蓄積されていく。
今の蒔風には、それを受けるだけの体力も、弾くだけのパワーもない。回避をすれば、そのまま倒れて終いだろう。

つまり、放たれればそれは確実な死を意味する。

だが、逃げない。
ここで最後だとしても、彼の足は前へと進む。


一歩。
だが、ガクつく足ではそれすら困難。

それでも、もう一歩。

前に進む。
それが俺だといわんばかりに、進む。


これが人間の強さ。
諦めず、前に進む魂。

それが良くも悪くも、人類という種をこの域にまで高めて来た。

片や完全
片や翼人

両者ともそれを知っているからこそ、もはや相手に退けとは言わない。



「行く・・・ぞ・・・ぉぉぉおおおお!!」

「死ねぇッッ!!!」

蒔風の、絞り出すような雄叫び。
セルトマンの、突き刺すような宣告。


足を引き摺る蒔風に、セルトマンの魔力弾が発射される。

回転しながら迫るその砲弾じみた大きさの魔力弾が、蒔風のもとへと。



それが近づくにつれ、スローモーションに見えてくる。
死の直前の猶予か。

だが、たとえその時間が与えられても、蒔風の足は先ほどと行動を変えようとしない。

その背に、アリスが手を伸ばす。
届くはずのないその手は、必死になって届け届けと伸ばされる。


そして――――――

ゴドォンッッ!!

轟音、着弾。
爆発とともに、白い煙と強風が巻き起こる。

その風が、煙を運んでマジュウたちの足元をくすぐる。



そしてその爆風の勢いに押されて―――――蒔風の身体が揺れて倒れる。


「なに?」

煙の隙間から見える蒔風に、セルトマンが疑問の声を上げる。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ