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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
Riders/疾風
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蓋」があったために表には出なかったが、閉じられた内面でそれは蓄積されていた。


逃げ出したかった。
なんで腹に穴が開いてまで、戦わなきゃならないのか。

諦めたかった。
なんで腕が切り落とされてまで、腕を伸ばして救わなきゃならないのか。

目を背けたかった。
なんで消えるとわかっているのに、そんな手段をとってまで戦うのか。

放り投げたかった。
死ぬのが怖くて戦いたくないのに、なんでまたそんなところにいかなぎゃならないのか。



世界に入ると、そんなことを考える暇もなかった。
だから戦えた。「蓋」もあったし、問題はなかった。

一旦始まれば、自分は止まらない。そういう人間だ。
だが、その始まりの一歩の前には、いくらでも嫌がった。





「でもな、諦めたことはなかった」

結局、自分は戻ってしまう。


「そうだよな、逃げようと思えば、いつだって逃げられたんだ」

でも、最終的には逃げなかった。
口でどういおうと、戻ってくる。


なぜか、と問われれば、その時はその時に合わせた答えが出てくるだろう。

仲間がいたから怖くなかった。
支えてくれる友がいたから大丈夫だった。
「蓋」が外れても、立ち向かうだけの決意を得られた。

じゃあ、今は?



仲間もいない
友は遠く
今更決意も何もない




「諦められるなら、とっくのとうに諦めている」

世界から異端だとされ
摂理を脱し、理を脱し
お前は一人で勝ち続けろと言われた、あの時



そうだ。
あの時は逃げなかったんだ。


先の見えない、その場の勢いだったかもしれないけれど


自分は間違いなく、あの時諦めなかった。
倒れていく友の姿を見て、諦めずに未知の脅威に立ち向かった。


思えば、あの時も絶体絶命だった。



だったら、今も




「諦めるなんて、できるかよ」

風が

「絶対に、そんなことはできるかよ!!!」

吹いた。



「この境遇に嘆き、悲しみ、苦しんで」

叫びに呼応するかのように


それでも、俺は諦めなかったんだ!!!」

風は巻き上がり


「最後まであきらめるなとは、俺はほかの奴には言わないさ」

強く、強く吹き荒れる


「だけど、その最初の決意だけは絶対に諦めない」

風はやがて疾風となり


「諦めることができるのなら、俺はあの時に諦めている!!」

旋風となり


「負けがわかったから逃げ出すなんて、そんなことは俺にはできない」

強風となる


「もしそんなことが可能なら、最初から逃げていた!!それをあの時しなかった瞬
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