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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
Riders/疾風
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リスの隣に倒れる。


その様子を見て、セルトマンがマジュウの間に立って再度告げる。


「もう無理だろう、蒔風舜。お前に一切の落ち度はなかった」

「・・・・ぉ」

「俺の作り出した完全を四体も消滅させ、数々のサーヴァントを撃破し、アルカンシェルをはじめとする脅威に立ち向かった」

セルトマンの言葉には、賞賛以外の意味を持っていなかった。
ただ純粋に、相手への敬意と尊敬をこめた言葉だった。

「アーカイヴを手にし、その通りに動かないといけないとはいえその俺を相手にしてこれだけたたかったんだ。それだけで十分にすごい」

「だから・・・」

「・・・もうあきらめろよ。お前はおれには勝てない」

「諦め・・・ろ?」

「この先、何が起こってもこの戦いの結末はお前も俺も消滅することで終わる。でも、俺はその瞬間に脱することが可能だ。つまり、お前だけ消えちまうんだ」

「・・・・・・・」


「その時、俺がどんな状態かはわからない。でも、きっとまともではないはずだ。俺だって痛いのは嫌だ。このまま諦めてくれれば、俺たちはどっちも生き残る。無駄な傷もこれ以上負わない」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「なあ、わかるだろ?これ以上は無意味なんだ」


セルトマンの言葉の通り――――もしこのまま挑めば、セルトマンの勝利は確実だ。蒔風はこの世界から消えることになるだろう。

だがもしここで手を引けば・・・・この世界は消える。
だが、蒔風は生き残るだろう。セルトマンも、自らの目的を達成できる。

いわば、両者win-winの関係といえる。
セルトマンも、大丈夫とはいえこれ以上の負傷は嫌だという。


誰も文句は言わないだろう。

誰も彼を恨まないだろう。

誰が言ったところで、彼に届くことはないだろう。



「だから、諦めろと?」

「そうだ」


「諦めろ・・・諦めろ、ね」

力のない言葉。
意思の乗らない言葉。



その脱力を、セルトマンは諦めたな――――と、思っていた。



生える草を握る。
うつ伏せの身体が、持ち上がっていく。

言葉が虚ろになるのは当然だ。
その言葉の通りにするつもりなど、この男にはありはしないのだから。


上半身が起こっていく。
掌で地面を押しのけ、肘がガクガクと揺れる。

肘が落ちるが、今度は肘を支えに起き上がっていく。


そうしてついに足の裏が地面に触れ、左右に揺れて地面を踏み直しながら立ち上がる。



「諦めろ・・・か。いままで何度、そうしようと思ってきたか」

軽く笑う。
そうだ。俺は今までもそうしたかったことがいくらでもあった。

かつては「
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