暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
Thirteen/死数
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「グッ!?」

掴む。
元気よくのたうつそれは、生きている証拠そのものだ。

その命をなでるように握り、そしてひねりながら一気に引き抜いた。


「ゲゥッ!!!」

「・・・・・・・」

べちゃ、と地面に心臓が落ちる。
即座に乾燥してセルトマン体内に戻っていく返り血を浴びながら、蒔風はさらにセルトマンの全身を漁っていく。


触れる肉の感触。
その一つ一つの器官を握ってはつぶし、投げ捨てる。


激痛に顔をゆがめるセルトマン。
だが、ある程度まで行くとそれもマヒしたのか、蒔風の顔面に蹴りを叩き込んで後退させる。

ブチリと腸が千切れたが、痛覚はマヒしている。
今のうちに治せば問題はない。



「いてぇな、おい」

「俺の怒りにはまだ足りないくらいだ―――――」

すでに治りかけ、あと数秒もすれば後も残らず治る腹をさすりながら、セルトマンが薄ら笑いを浮かべて蒔風を眺める。


「俺は貴様を殺す。絶対に殺す。たとえこの世界が破壊されようとも、俺はお前を追い続ける。俺が、お前を殺す。お前を殺すのは、俺だ」

すでに蒔風の目はそれしか映っていない。
かつて、彼自身も暴走することはあった。

彼自身が持つ歪みや狂気が蓄積していく結果、暴れだすことはままあった。


だが、それは「蓋」があったころの話。
それに内蔵された、死の理解という思想が彼をそうさせていた。


しかし、これは違う。
その「蓋」はもうすでにない。

この怒りは、彼自身のもの。
この感情の暴走は、まぎれもなく彼の本性を現している。


「俺がたとえどうなろうと・・・・テメェだけは絶対に」

「調子に乗るなよその程度の人間が」

ドチュッ!!と
打たれた衝撃音と、自分の肉がつぶれる音を蒔風は聞いた。

放たれた魔力弾が左肩に命中し、貫通はなくとも骨を砕いて肉をすりつぶす。


その痛みだけで動けなくなりそうなものだが、今の蒔風の脳はその痛みを認識するだけの機能はない。
それを見て、なおも放たれる魔力弾。今度は右腿に命中する。

今度はさすがに激痛が走ったのか、蒔風の歯がくいしばられる。

それでも右手で「天地」を握り、セルトマンを狙って突撃を放つ。
飛来する「突き」だが、それを魔力壁でガードしてなおも放つセルトマン。


「ぐぅっ・・・・」

「なんだ?それぐらいしかできないのか?」

「お前は・・俺が・・・・!!」

「はは!!自己満足なのはいいけどな、それで突き進み君は何を残した!?」

「・・・・・・!!!」


見てみろよ、と言わんばかりに両腕を広げるセルトマン。

「何もない。そうだろう?自己満足で動くのが悪いとは言わ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ