第六章 Perfect Breaker
Exclude/消失
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く、彼らの残骸もなく。きれいにその部分が消失していた。
首を、軽く右に向ける。その光景を、蒔風は見た。
力のなかった瞼が、大きく開かれる。その光景を、目に焼き付けるかのように。
そして、無言であった。
自らの失態。
自らの不甲斐なさの代償を
「ふう・・・だが、これで終わり」
パチン、と
そう言ってセルトマンが、これで指を鳴らし終える。
最後に消えたのが何かは知らない。
ただ、通信機の向こうから聞こえる声はもうなかった。
「さて、と。じゃあこれで最後だ」
そう言って、セルトマンが先ほどと同じように蒔風へと手を向ける。
その砲口から放たれる魔力弾は、螺旋を描いて蒔風へと突き進む。このままいけば、蒔風の右腕に命中するだろう。
そしてさっきと同じなら、蒔風に受けられるはずがないものだ。
彼の上半身は粉々に散って、その場に残るのは無残な肉片と下半身のみ。
の、はずが
ブンッ――――バチィッッ!!!
「・・・・・・なに?」
両膝を着き、うなだれて軽くいながら、蒔風の右腕が振るわれてそれを弾いた。
蒔風から見て、右から左へ。頭上を飛んで行って、魔弾は地面に落下して爆発する。
ユラリと、立ち上がる。
右拳の拳鎚から、血が流れていた。
そして
「ふざけんなよ」
憤怒に満ちた息を、無理やり肺から押し出し
怒気に満ちた声を、無理やり喉から絞り出す
「俺のせいじゃないなんて、そんなことをいう気は毛頭ない」
「そうかい」
「でもな・・・俺はお前を許さない」
翼が開く。
いつものような輝きはなく、しかし目の前の一切を許さないという殺意に満ちた力強さを表していた。
「楽に死ねると思うなよセルトマン。お前は俺の、手を出しちゃいけないものに手を出した―――――!!!」
蒔風舜が、今までにないほどに怒りを露わにしていた。
「奴」にだって
“LOND”にだって
赤銅にだって
これほどの怒りを向けたことはなかった。
恐ろしいほどに冷静に、蒔風は自分の状態を自覚していた。
嗚呼、きっと自分の理性はこの瞬間に吹き飛んだんだな――――と
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「はぁ・・・はぁ・・・・・」
待っててください。
早まってはいけません。
「絶対に私がつくまで、一人でセルトマンに挑まないでください――――!!」
駆ける。
ただ一人残った彼女は、彼のもとへと。
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