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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
Unknown/未知数
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顎に手を当て、一考するショウ。
たがそちらを考えても答えが出ないのは今更だ。


「いったん立て直す。退くぞ」

「そんな、ここまできて」

「ここまで来ても相手が未知数だから言ってるんだ」

そう。
ここまで攻撃し、相手の手を見せられても、セルトマンという男の無尽蔵さの答えが出ない。

それが一番怖かった。


大聖杯から汲み出した魔力を、何の反動も損傷もなく使いこなす魔術回路など聞いたことがない。


彼の持つ魔術系統では、それは学問だ。
そして、無から有は生まれない。

何かを成すには、それ相応の犠牲が必要なのだ。

魔術礼装を使っているわけでもない。
特殊な術を行使しているわけでもない。
この敷地内だけで発揮されるような、そんな能力設定ならばそんなものはとっくに発見している。


「なんなんだ。この違和感は」

グシャグシャと髪を引っ掻き回し、イラついたようにつぶやくショウ。
視線は、セルトマンの吹き飛んで行った方向を向いていた。


「来ますかね?」

「いや、来ない」

襲いかかってくるのか。
それを翼刀が聞くと、さっきまで疑問ばかりだったものとは違う、確信に満ちた答えが返ってきた。


「なぜに?」

「・・・・おせっかいな世界最強が相手をしているからだよ」

苦笑気味にそう告げ、行くぞと皆を率いてショウが下がる。

ここはいったん、戦線復帰したあいつに任せるとしようか。



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「いてて」

がさりと、茂みが揺れて声が漏れる。
頭をさすりながら出てくるセルトマンだが、少し土がついているくらいで外傷は見えない。

目を凝らし、手のひらを額に当てて遠くを見ようとする。
木々の隙間を超えて、その向こうにショウたちの姿をとらえて「んー」と唸りと漏らしの半々のような声を出す。


「追うかな?でも行くメリットないしそれに」

振り返る。
そこにいたのは、一人の男


「こっちの相手のほうが楽しそうだ♪」

「よう、セルトマン」

「直接戦うのは数週間ぶりだな。ミッドチルダでのあれ以来か」

「おう、あれ以来だ」


セルトマンが振り返ると、そこには仁王立ちした蒔風が、拳を握って睨みつけていた。
さらにはセルトマンの周囲を囲んで、なのは、エリオ、まどか、ほむらの四人が武器を向けていた。


「この状況なら、ふつうは投降するか何かを進めるもんなんだかな」

「冗談。ここまで遠くに来て、いまさら終わりにはできないって」


「ディバイン――――」


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