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世界をめぐる、銀白の翼
第六章 Perfect Breaker
Unknown/未知数
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う。
だたそれだけの動作だというのに、この胸の奥から煮え立つような恐怖は、いったいなんだと言うのだろうか?


一方、セルトマンに助けてもらっていたフォンは、バックステップで後退していた。
片手ずつで神裂、セイバーの二人を抑えているセルトマンが、それを何とも思わせない軽い口調でフォンへと背中越しに語りかける。

「おいフォン。もういいぞ」

短く、一言。
ショウやセイバーたちが勘ぐるが、残念ながらこの言葉にそれ以上の意味はこめられてはいない。


「ご苦労だったな。ここからはおれ一人でいい」

「そうですか。じゃあ、こっちはここらで失礼します」

踵を返して背を向けるフォン。
本当にこの戦いから降りるというのか。

あまりにも前触れのない、あまりにも唐突な出来事に、ショウですら目を丸くした。


「おい・・・どういうことだ!!」

「どうもこもない。こっちの目的はセルトマンさんの手助け。それも自主的なもの。その当人がもういいと言ったんだから、これ以上の手出しは必要ないっしょ」


そう。このフォンをはじめ、セルトマンについてきた五人に、それ以上の感情はない。
ただ自分の恩人のために、手を貸してきただけのことだ。

故にセルトマンの目的や思惑には全く執着がない。
ただ、彼の助けになれればそれでよかったのだから。


「こっちは見させてもらうとします。あなたの、この戦いの顛末を」

「楽しみにしていろ。アーカイヴみたいなスカスカ中身ではなく、しっかりとした描写とともに送るさ」

「ええ。では」

「ああ。楽しかったぜ、フォン」

ザッ、と。
それだけの音を残してフォンは消えた。

あれだけ場を引っ掻き回していた男のものとは思えぬ、あっけない退場だった。


「ずいぶんと余裕じゃねぇか、セルトマン」

覚悟はできているのか。

そう問うかのように、ショウが睨みつけて漏らす。
対して、セルトマンの余裕な態度には微塵も変化はない。

「なに。ここまでくればあとやることは三つほど」

しかし、そこで


「不動拳――――!!」

「だっガウッ!?」


ドゴン!と、一発。
ショウとの会話中にもかかわらず、翼刀の不動拳がセルトマンの背後からぶち込まれた。

一気に吹っ飛ぶその体を、ショウがひらりと回避して翼刀へと視線を向ける。


「終わったか?」

「はい。あとはあいつだけですよ!!」


グッ、と拳を握り締めて答える翼刀。
後ろのほうでは、唯子がセイバーと神裂に手を貸していた。


「大丈夫ですか?」

「あ、ああ」

「しかし、エクスカリバーですら効かないとなるとあの男、本当に一体・・・」



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