第六章 Perfect Breaker
聖杯怪獣/岩鉄巨人
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獣の左腕を捻り千切った。
「着地するぞ」
「え」
ドッ―――ゴゥッッ!!
緩慢な動きで落下し、そしてとんでもない振動を起こしながら、巨人が怪獣の真後ろへと着地した。
ブシュウ、と下半身部から煙が上がり、右足を一歩前に踏み出した。
それと同時、怪獣の上半身が一瞬崩れた。
そして―――まるで一度散らした砂鉄が、磁石でまた集まるかのように融合し、怪獣の正面がこちらに向く。
「チッ!!」
「方向転換できないとでも思ったか!!」
「だが――――!!」
ショウが踏ん張る。
その目はこれ以上ないほど開かれており、更にいうなれば充血もしている。
一方、対する怪獣の頭部の形は変わっていた。
ナイフがない。代わりに、背に当たる部分が滑らかな曲線を描いており、そこには背びれと言える突起がいくつも並んでおり
「喰らえ」
それが、今にも何かを発射するかのように青白く発光していた。
「喰らえ」
だが、思わぬ偶然か。
ショウが発した言葉もまた、それだった。
気付けば巨人の胸に溜まったエネルギーは、今にも吹き出しそうなほど滾って真っ赤に輝いていた。
巨人が胸前で拳を叩き合わせて、その隙間をゆっくりと開けていく。
それに合わせて、巨人の胸部がゆっくりと開かれていった。
半円を左右に合わせたような形の胸部のプレートが、カメラのシャッターの様に回転しながら開いていく。
そして
「「撃て!!」」
同時に叫び、同時に放たれた。
巨人の全身から煙が吹き出し、足が地面にめり込みながらも胸から放たれた熱線が怪獣へと向かっていく。
一方、首の動きで反動を緩和して放たれた青白い熱線は、怪獣の口から放たれて巨人へと向かっていく。
正面からぶつかり合う両者。
「うぉ―――――」
ショウが唸る。
喰いしばった歯は、このままでは砕けるのではないかというほど閉じられている。
「ウォぁぁアアアアアアアアアア!!!」
流石にショウとは言えども、これだけの膨大な魔力の運用は負担があまりにも大きかったのだ。
更には他のメンバーへと魔力が流れ過ぎないよう、その分は自分に廻していた。
「喰う」のであれば問題のない量。
だが、この巨人を動かしながらそんなことはできず、しかし巨人がいなければこのメンバーで攻め込めない。そしてメンバーがいなければ、彼が「喰う」等という行動をとるだけの余裕ができないのだから、ジレンマというほかない。
「ツ ラ ぬ ケェ アッッッ!!」
ついに、鼻血までもが流れ出す。
だがそこまでして踏ん張ったかいもあり、熱線対決はショウへと軍配が上がった。
怪獣の胸、つまるところ大聖杯を
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