第六章 Perfect Breaker
聖杯怪獣/岩鉄巨人
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切ろうと万力が込められる。
だが、怪獣の左腕がまだ残っていた。
巨人の左脇腹を狙って振るわれた怪獣の巨椀が、見事にその部位を抉り取った。
ガクン!!と巨人が揺れた。
怪獣の頭を掴んでいた腕が離れ、再びナイフが襲い掛かってくる。
左足が浮き、しかしすぐに大地に踏みとどまる巨人。
突き出されたナイフを肩口で受け、空いた左腕が怪獣の顎を見事にアッパーで捉えた。
揺れる巨体。
同時、巨人は怪獣の腕を抑えていた右腕も離していた。
アヴィルドムのブースターだったものが肘の岩石を押しやって出現し、まるでその闘志を表すかのように、一気に点火して燃え盛る。
「うぉオオ、ダァッッ!!」
そしてその加速を得た右拳が、怪獣の顔面に真正面から重い一撃を叩き込んだ。
「ギュゥレエエエァァアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「ゴォオオオオオオオオオオオオオッッッム!!!」
魔物の組み合わさった怪獣の悲鳴と、岩石の巨人の唸りがその空間を支配した。
怪獣の上半身が仰け反り、巨人が全身の関節部を動かしながらガシュウ!!と再び構える。
再び掴みかかる巨人。
いくら上半身が怪獣とはいえ、大元がビルでは相手も逃げられまい。
邪魔をしてくる左右の腕を、逆に掴み取ってグシャグシャに握り潰す。
痛覚でもあるのだろうか、怪獣が腕を振り回しながらその損失に悲鳴を上げる。
ボソボソと崩れ去っていく怪獣の腕。
その付け根部分に巨人が手を掛け、再び魔力を充填し始める。
腕が再生する気配はない。
これで行けるか。そう、ショウが安堵した瞬間。
ドリュッ!と、生々しい音がして、怪獣の背中から伸びてきた腕が、巨人の腹部を鷲掴みした。
俗に言うと、第三の腕、というものだ。
その腕は先ほどの二本よりもはるかに太く、それを証明するかのように巨人の身体をゆっくりと持ち上げはじめた。
更に左右の腕も即座に再生し、巨人の左腕と右足を掴み取って引っ張り始めた。
「うォォおお!?」
「おい落ちるぞ!!どうにかしろ!!」
「黙ってろ!!」
慌てる一同だが、ショウはそれを一喝する。
先ず、足場となるプレートに重力魔法をかける。
ひとまずはこれでメンバーが落ちるなどということはないはずだ。
そして、ショウが歯を食いしばって魔力をフル伝導させていく。
「はっは!!そうだ、引き千切ってしまえ!!」
「そうは問屋が卸さねぇっての、よぉおッ!!」
ガゴギンッ!!
何かが外れる音。
プレートの上の彼等は解らない。
いまショウは、巨人の腰回りをあえて緩くしたのだ。
そして、結合部を一点に集中。
その一点を軸に180°回転させ、下半身の動きが怪
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