第六章 Perfect Breaker
世界を超える、鉄刃の翼
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なよ?絶対にその手、離すなよ?』
「言われるまでも、ないっての!!」
「まっかせてよ!!」
叫ぶ。
それは未来への宣言。
新たな光の、道標―――――
『古よりの怒りの翼、赤銅!!』
『観測者最強、飛鳥!!』
『そして吾が友たるは』
「鉄流不動拳門下、綺堂唯子!!」
『新たな世界の希望たるは』
「鉄流不動拳、18代目当主。鉄翼刀!!」
「さあ――――トバしてぜェ!!」
「止めれるもんなら止めて見なさい!!」
「「今こそあんたたちを、完膚なきまで叩き潰すぜ!!」」
長い長い、名乗り口上。
それを、翼人三人は黙って眺めていた。
「名乗り中は攻撃してはならない」などという、某特撮番組のお約束を守っているなどという、くだらない理由では当然ない。
隣の男。
全身を陰に包まれた、「奴」というこの男がそれを止めていた。
「アァ・・・・・?」
忌々しいものを見る目。
それは例えば
ごちゃごちゃに汚されたキッチンを見て、「掃除しろよ」と言われるような怒り。
トイレに入ろうとして、もう限界なのにそれがすべて埋まっていた時の憤り。
電車に乗ろうとして、自分の方が先に並んでいたのに横に立っていた男が身体を滑り込ませてきた時のムカつき。
そんな、誰もが経験しそうな怒り。
そんな些細そうな怒り。
その程度で怒るのはくだらないが、実際には何よりも腹の立つ行為。
この男は、そんな感情をこめて、目の前の青年たちを睨み付けていた。
そのはちきれんばかりの感情は、もし隣の三人が動けば即座に潰され、喰われるのを察する程に強烈だった。
だから彼等は動かない。
動くなら、この男が動いてから。
「アぁああああ・・・・そうだ。そ〜うだァ・・・・いいぞぅ、お前どっかの主人公だったんぁ?」
怒りのせいか、呂律もまともに回らなくなっている「奴」。
弱々しく震える指で、翼刀を指さした。
「俺ァな。そういう最主要人物が大っ嫌いなんだ。自分の価値観が正しいとか、そうするのが正しいからお前らもそうあれ、強くあれと叫ぶテメェらみたいなのがよぉ」
誰もがそうできるわけじゃない。
そんなことは当然だ。
だが、彼等が叫んでいるのはそうではない。
かつて。
そう叫んで世界をめぐってきた男は、そう言っていた。
だから、みんな強くあろう。
しかし、この男は違う。
この鉄翼刀は、そのことをよく知っている。
「わかってるさ。そんなこと」
誰もがそんな生き方を、出来るはずがないなんて知っているさ。
だって、俺だってそうだった。
罪
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