第六章 Perfect Breaker
不撓不屈
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い。
そして、仮にそれがはっきりしたところで譲る気などさらさらない。
だだひとつ確実なのは、この世界にいられる綺堂唯子はただ一人、ということ。
「私は胸を張って言うわよ。私がオリジナルの綺堂唯子だ!!だから、あんたみたいな代わりなんかに、私を渡しなんかしない!!」
「わ、私だって綺堂唯子よ!!!」
胸を張るブレイカー。
それに対し、怖気づきながら叫ぶ唯子。
当然だ。
だって、自分であると言う理由を説明できない。
あっちがオリジナルならば、話は簡単だ。
オリジナルは死に物狂いで生き延びて、でも身体が戻らないから私が用意された。いらない彼女は処分された。
若しくは、オリジナルである彼女は実験の途中で死んでしまって、クローンの私が次に投入された。
それなら順番も通るし、解る。
でも、私がオリジナルって言う説明は?
二つ目の説明があってるとして、オリジナルとクローンの順番を逆にした?そんなこと、するだろうか。
他にも理由は、無理矢理ならこじつけられるかもしれない。でも、それはあっちの話以上の説得力はない。
そして何より、自分自身が相手の話に納得してしまっている―――――
「う、うぅ・・・・!!!」
「どうしたの?言い返さないの?まあでもいいわ。だって、どっちがどっちなんて意味無いって言ってるんだし」
攻撃しているのは唯子だ。
だがブンブンと振られるその腕をヒョイヒョイと回避し、何でもないように語るブレイカー。
「どう説明しても、結論付けても、どっちも納得しないなら、結局生き残った方が、強きかった方が、私になる」
だが二人は同一人物だ。
その力に上下はない。
あるとすれば、身体の欠損のハンデ。
だが、それでもブレイカーの方が優位である。
なぜなら彼女には、その状態であの実験に耐えただけの記憶があるから。
唯子の中にも、それがある。
確かに、身体を負傷した記憶はある。
でも、こんな彼女を目の当たりにして――――それが本当に自分の記憶だったのかが不確かになる。
記憶が溶ける。
何が自分の記憶だったのかわからない。
トンッ
「え」
と、いつの間にか、ブレイカーの肩が唯子の胸に当たっていた。
肋骨と肋骨の間。胸の真ん中。そこに軽く当てられた、彼女の、腕のない左肩。
当てられた、というよりは添えられたところに自分から入って行ってしまったような感覚。
そして、そこに
「ヤァアッッ!!」
ドォンッッ!!!
不動拳が、叩き込まれる。
二人の力、実力に差はなく、そして戦い方まで似通うのであれば、勝敗を分けるのはただ一つ。
唯子
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