第六章 Perfect Breaker
不撓不屈
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たのだ――――――
ガシッッ!!!
「な、ツゥッ!?」
ブレイカーの腕に、激痛が走る。
唯子の腕が伸び、その上腕を今にも潰さんがごとく握りしめている。
「放せ!」
その腕を、蹴りで払うブレイカー。
だが唯子の腕はあきらめず、弾かれてもなお、今度はブレイカーの頭を掴み取った。
「幻想や――――夢想なんかじゃ現実は乗り越えられない」
そんなことは知っている。嫌というほど経験した。
どれだけ自分が想っても届かず、結局故郷は壊滅した。
身体を張っても、想い人は直接、その時には自分の元に帰ってこなかった。
想いは儚い。
その場で砕けて、消えてしまうそうな程に儚い。
叫び、刻み、握りしめても、その気持ちは霧散していく。
それが心で、感情だ。
その場限りの起爆剤。そんなもので、強固な現実を乗り越えられるはずがない。
でも
「幻想や夢想は現実を変えられない。けど!!」
ブレイカーから、失われたモノが唯子へと再度流れていく。
戻っていく唯子は、涙声ながらに叫んだ。
「確かに現実は変えられる。変えることができる。その強固な現実を乗り越えるというそれは、人の想いがなければ始まらない」
『人の願いがなかったら、現実を乗り越える強さは絶対に生まれないから―――――』
「だから、私は・・・・・絶対に、諦めないんだ!!!」
「そんな・・・・吸い取ったモノが逆流して・・・私の域まで・・・!?」
ブレイカーの腕が降り、唯子の足が床に着く。
直後ブレイカーが思わず手を離す。
ユラリと立つ唯子を、ヨロリとしたブレイカーが睨んだ。
「どうして」
「・・・・・・・」
唯子は答えない。
体力がないからなのか、ただ黙っているのか。
その唯子に、繰り返しブレイカーが叫ぶ。
「どうしてだ・・・どうして、私から何も奪わなかった!!」
唯子の逆流は、そのままブレイカーの者を吸い取ることまで可能な域にまで達していた。
だが、そこに至ってそれを止めたのだ。
それはなぜだと、ブレイカーが叫ぶ。
これは椅子取りゲームだ。自分と奪い合う戦い。
ならば、ここで全てを吸い出せば唯子が残る。
それを止めたのは、なぜか。
「だって、私はもう貰ってるから」
「・・・・!!」
唯子はすでに貰っている。
ブレイカー・綺堂唯子が死んだときに、すでにその全てを。
だから、奪うわけにはいかない。
これ以上彼女から、奪うわけには。
「でも、奪わせるわけにいかない」
これは、わたしだから。
戦い、泣き、走り、叫び、眠り、目覚め、駆け抜けた
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